中国偵察気球に信号傍受の諜報機能 40カ国超の上空飛行 米、調査結果発表
【ワシントン=渡辺浩生】バイデン米政権は9日、先月末から今月4日に米軍機に撃墜されるまで米本土上空を飛行した中国の偵察気球について、電波信号の傍受による諜報活動を行う機能を搭載していたとする調査結果を明らかにした。気球は人民解放軍が指揮する「中国気球船団」の一部で5大陸の40カ国超の上空を飛行、中国軍と関係のある企業が製造し軍に納入したとしている。
米政府は、一連の気球飛行について中国の世界規模の偵察計画の一環で「米国の安全保障と同盟友邦諸国に脅威を突きつけた」(高官)と指摘。対象となった国々と情報共有を進める一方、米領空の偵察に関与した中国の団体に対する制裁措置を検討する方針だ。
国務省高官の説明によると、米軍偵察機U2が飛行中の気球を撮影した高解像度画像を分析した結果、気球は地表の交信を傍受するアンテナを備え、「電波信号の傍受による情報収集を行う機能」を搭載。搭載装置は「明らかに諜報活動を目的としたもの」で「気象研究用」とする中国側の主張と矛盾するとしている。
高官はまた、気球は太陽光パネルによる電力で稼働していたと指摘。人民解放軍と関係を持つ企業が気球を製造していたほか、その企業は自社サイトで気球を宣伝し、米国の領空など過去に飛行した際の映像も流していたと明らかにした。
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