財務省は27日、日本の対外純資産が2021年末時点で411兆1841億円だったと発表した。2年ぶりの増加で過去最大となった。20年末時点に比べて円相場が円安に振れ、企業や政府などが海外に持つ外貨建て資産の評価額が円換算で増えた。日本は31年連続で世界最大の純債権国となった。
対外純資産は日本国内の企業や個人、政府が海外に持つ「対外資産」から海外投資家などへの「対外負債」を差し引いたもの。鈴木俊一財務相が27日の閣議で報告した。
海外資産の残高は前年比9.2%増の1249兆8789億円に上った。国内企業によるM&A(合併・買収)などを通じた直接投資が増えた。21年末時点の円相場は1ドル=115円12銭と20年末に比べて1割超の円安・ドル高だった。円安が外貨建て資産の評価額を81.8兆円押し上げた。
海外から日本への投資などを映す対外負債残高は6.2%増の838兆6948億円だった。3年連続の増加で、日本への直接投資と株式や債券などへの証券投資がともに伸びた。
対外純資産は前年比15.8%増となった。
国・地域別でみると、21年末時点で日本に次いで対外純資産が多いのはドイツで315兆7207億円となった。香港が242兆7482億円、中国が226兆5134億円で続いた。2月のウクライナ侵攻後、西側諸国から資産凍結の制裁を受けるロシアは55兆2128億円だった。世界最大の純債務国は米国で、対外純債務残高は2067兆3330億円に上った。
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