※10/9(土) 12:05JBpress
SDGsは、今や国際社会で最も熱心に追求されているグローバルな指標だ。企業は競うようにサステイナブルであること、環境問題に取り組むことを経営方針に取り入れている。
ベルギーのスーパーでは果物は紙袋で売られている
ところが、そんな世界の大きな潮流に逆行するような議論が日本では浮上しているという。小泉進次郎前環境大臣の政策であった「レジ袋有料化」を、大臣交代に伴って白紙に戻そうという動きである。
ウェブニュースのコメント欄に並ぶのは、「レジ袋は全体のプラスチック問題からすれば大した量ではない」「レジ袋はゴミ袋として有効利用している」など、どれも政策の効果を疑問視する批判的な意見ばかり。政策内容の検証を試みるメディアは皆無であるばかりか、ただいたずらに批判を煽るような本質を欠いた記事ばかりが並んでいる。
そこで、本稿では「レジ袋有料化」はプラスチックごみを減らす上で、本当に「無策」だったのかということを検証してみたい。
反対論者の意見の筆頭として、「レジ袋はゴミ袋として再利用している。レジ袋を有料化したらゴミ袋を買わないといけないので、意味がない」というものがある。
まず、そもそも「レジ袋有料化」はプラスチック問題を考える「きっかけ」として導入されたものなので、この批判が的外れな感は否めない。しかし、この政策自体でもプラスチックごみ削減の一定の効果は期待できることが分かっている。
■ 「レジ袋はゴミ袋として再利用している論」の詭弁
実際に、大阪市と寝屋川市の家庭から出されたゴミ袋の中に含まれるレジ袋を分析した研究「ごみ中の実態に基づくレジ袋削減の可能性」では、現状に比べて55~57%のレジ袋が削減可能という試算がはじき出されている。
レジ袋を単体でゴミ袋として使用しているケースももちろんあるが、小さなレジ袋などの場合、ゴミを入れた小さなレジ袋(小袋)を結局大きなゴミ袋(親袋)に入れていたり、小さなレジ袋(小袋)の中にまた別のレジ袋(孫袋)がいくつかまとめて入れられていたりと、ゴミ袋の重複した使い方が多く見られたからだ。また、空のレジ袋がゴミ袋に含まれている割合も3割近くあった。
つまり、レジ袋が単体のゴミ袋として再利用されていないケースも実際には多いということだ。
また、自治体指定のゴミ袋やゴミ袋に貼るシールの購入を義務づけている地域が年々増えていることに鑑みれば、レジ袋のゴミ袋としての利用価値は反比例して減っていくはずだ。
1枚50円近くする自治体指定のゴミ袋ならば、誰だってぎゅうぎゅうにゴミを詰めてから出すだろうし、そもそもゴミを減らす努力をするようになる。一方、これが無料のレジ袋だったらスカスカのまま縛ってポイっと捨ててしまう人も多いのではないだろうか。
次に、「日本国内のプラスチックごみのうち、レジ袋が占めるのはたったの2%。レジ袋を有料化し、マイバッグを促進しても焼け石に水だ」という批判がある。しかし、「レジ袋有料化」を推進した小泉前環境大臣も「2%」という数字は当然把握しているし、前述したように、レジ袋を有料化したところでプラスチック問題が解決するとはそもそも想定されていない。
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