長崎県諫早市で農地転用による商業施設整備を巡って、流通大手を交えた土地の争奪戦が繰り広げられている。イズミ(広島市)側の地権者組合は「ゆめタウン諫早」(仮称)を核とした開発を計画。イオンタウン(千葉市)は隣接地に「イオンタウン諫早鷲崎」(仮称)の建設を目指しているが、一部予定地をイズミが賃借する法的手続きがあり、事業化のめどが立っていない。問題は地権者を巻き込んだ法廷闘争に突入した。
両社は、諫早市で5月に開通した自動車専用道路「島原道路」の長野インターチェンジ(IC)の周辺に広がる農地にそれぞれ出店を計画する。県中央部に位置して高速道ともアクセスが良く、長崎市や島原半島からも集客が見込まれ「一大マーケットになり、高齢化などに悩む農家にも転用はメリットとなる」(流通関係者)。
イズミ側の長野土地区画整理準備組合によると、地権者が50人いる農地18ヘクタールを区画整理して半分ほどをイズミに賃貸し、映画館や温浴施設なども含めて2025年度の開業を予定。イオンタウンは隣接する鷲崎地区の地権者約70人との交渉を終え、農地10ヘクタールを開発して25年中の複合型施設オープンを目標にする。
ただ、農地転用を禁止する「農用地区域」から市が除外したのはイズミ側の農地のみ。イオンタウン側の鷲崎地区の農地には、地権者の1人が所有する916平方メートルにイズミが設定した「条件付き賃借権」の仮登記が残る。農地が転用された場合、地権者から土地を賃借する内容で、市農業振興課は「地権者全員が同意したとみなせない」などとして除外を認めない姿勢。
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