韓国銀行の基準金利引き上げの効果が現れている。銀行の定期預金が急増しているためだ。KOSPI(コスピ、総合株価指数)が先週一時3000ポイント台を割り込むなど、景気への懸念も銀行預金の増加をあおっている。
銀行業界によると10月15日現在、5大銀行(KB国民、新韓、ハナ、ウリィ、NH農協)の定期預金残高は640兆3443億ウォン(約62兆円)に達した。9月末に比べ15日間で7兆9209億ウォン(1.25%)増で、今年5月(9兆5564億ウォン増)以来の最大の伸び率だ。まだ10月を半分ほど残しているという点を考慮すれば、今月の定期預金の純増額は今年最大を記録する見通しだ。
10月の銀行定期預金の増加は8月26日の韓国銀行の基準金利引き上げと直接関係がある。この日、韓国銀行は基準金利を0.5%から0.75%に引き上げ、都市銀行も預金と融資金利を引き上げた。このような金利上昇の効果は9月から現れ始めた。コフィックス(COFIX、資金調達費用指数)の最近の上昇幅が一例だ。
COFIXなどの市場金利はこれを反映している。銀行連合会で発表するこの指数は、銀行の預金利率の推移を直接反映する。銀行融資資金の大半が預金から出されるという特性によるものだ。今年9月時点の新規取扱額ベースのCOFIXは1.16%を記録した。これは前月に比べ0.14%上昇したもので、今年に入って最大の上げ幅だ。8月の基準金利の影響が、9月の都市銀行の金利に直接影響したものだ。
ここに11月の基準金利の引き上げが有力視され、10月以降も金利は引き続き上昇する見通しだ。これにより預金高も急増している。実際、銀行の定期預金残高は、10月に入ってから2日で1兆ウォンずつ増えている。 今年に入って最も速い増加ペースだ。13日までの5大銀行の定期預金残高は6兆9110億ウォン(約6600億円)増えたが、14~15日の2日間で1兆99億ウォン(約970億円)増加した。都市銀行関係者も「金利上昇が予想される時期に預金が集中するのは当然の流れだが、今のペースが速いのは事実」と述べた。
新型コロナウィルスが発生する直前の19年末にも似たような現象が起きた。韓国銀行・金融通貨委員会は18年11月、基準金利を1.75%へと引き上げた。世界的な景気低迷への懸念が高まっていた2019年7月(-1.5%)と2019年10月(-1.25%)の基準金利を引き下げるまで、5大銀行の預金が増加した。19年1月から10月にかけて増加した5大銀行の定期預金の金額だけでも72兆8318億ウォン(約7兆円)に上る。逆に金利が下がれば、銀行預金は引き潮のように引き出される。新型コロナ禍により基準金利が引き下げられ、市場金利まで下がった20年4月から定期預金残高は5か月連続で減少した。
株式のようなリスク資産から債券や銀行預金などの安全資産に資金の流れが集中する「マネームーブ」の前兆だとの見方もある。中国恒大集団問題とともに、米連邦準備制度のテーパリング(資産買い入れ規模の減少)が鮮明になり、金融市場に不安を招く可能性も指摘されている。
金融監督院が「パーフェクトストーム( 複数の厄災が同時に起こり、破滅的な事態に至ること)タスクフォース」を結成するほど、金融当局内でも警戒心が高まっている。Fed(米連邦準備制度)のテーパリングが11月から始まるとみられ、注視している状況だ。都市銀行PBセンター関係者は「資産家に現金の比重を高めるよう助言している」と語り、「資産家の間でドルや現金、金などを確保する需要が確実に増えている」と述べた。
これは要求払預金の推移からも見られる。要求払預金とは、自由に出し入れがが可能な預金で、投資待機性資金に分類される。5大銀行の要求払預金は15日までに8兆1611億ウォン(約7800億円)減少した。 同期間の定期預金の増加額(7兆9209億ウォン、約7600億円)とほぼ同じ水準だ。都市銀行の関係者は「最近の投資心理の悪化に伴い、要求払預金の一部が定期預金に流れたと推定できる」と述べた。
ただ、本格的な「マネームーブ」だと見るには無理があるという意見もある。金利上昇による定期預金の増加にすぎず、景気後退の懸念による資産移転ではない可能性もあるという意味だ。下落していたKOSPIは安定を取り戻し、ウォン高ドル安が進んだ。都市銀行の別の関係者は「市場金利の上昇に伴う短期的な預金純増なのか、マネームーブなのかは判断がつかず、年末まで見守らないと分からない」と語った。
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10/19(火) 6:47 配信
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