1972年の施政権返還から今日まで続く沖縄振興をゆがめる危険な動きだ。沖縄の豊かさや県民の幸福につながるものとは言いがたい。
防衛力の強化を目的とした公共インフラ整備の対象となる空港・港湾整備が沖縄に集中している。防衛省や国土交通省など関係省庁の担当者が頻繁に来県し、自治体への説明を重ねている。
「台湾有事」への対処を名目とした南西シフトは自衛隊増強だけではない。民間空港・港湾整備の形で着々と進められようとしているのだ。<中略>
有事を想定し、政府が推し進める沖縄の軍事要塞(ようさい)化は「償いの心」とは正反対のものである。沖縄を再び戦場とするつもりなのか。このような沖縄振興の歪曲(わいきょく)を許すわけにはいかない。<中略>
有事の際の住民避難のため空港・港湾の大型化は必要との意見もあろう。しかし、民間インフラの軍事利用は住民保護どころか、相手国の標的となる可能性がある。そうなれば、住民避難の施設としては危険である。不断の外交努力で有事を回避することが政府の役割ではないか。
本来の沖縄振興とは無縁のインフラ整備を安易に受け入れてはならない。県や関連する自治体に慎重な対応を求めたい。
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