「微熱があって、右脇腹から背中にかけて痛みを感じる患者さんの中には、ジビエの生食でE型肝炎になっている人がいました。いわば食中毒です。しかし、潜伏期間が長いので、ご本人は気づいていないのです」
こう警告するのは、東邦大学医療センター大橋病院消化器内科の渡邉学臨床教授。肝臓病の診断・治療を数多く手掛け、腹部超音波画像診断を得意としている。
「E型肝炎は急性肝炎の一種で、肝臓に激しい炎症が起こり、肝臓が肥大して肝臓を覆う肝被膜(かんひまく)が伸びます。そのため、右脇腹から背中にかけての痛みを伴いやすいのです」
野生のシカやイノシシのジビエには、E型肝炎ウイルスが潜伏していることがある。加熱処理(別項参照)を行えば、ウイルスを排除することができる。だが、「生食」で食べてしまうと、E型肝炎などの食中毒のリスクが上がるのだ。
「バーベキューで肉を焼くときにご自身の箸を使い、箸に生肉の破片や血液などがついた状態で焼いた肉を食べても、食中毒になることがあります。よく加熱することに加え、調理器具の扱いも注意が必要です」
さらに、食べた直後に背中の痛みなどの症状につながらないのが、E型肝炎のやっかいないところだ。E型肝炎はウイルスの発症までの潜伏期間は2~6週間と長い。生のジビエを食べたことをすっかり忘れた頃、急な発熱に加え、吐き気、食欲不振、右脇腹から背中にかけての重い違和感を抱えることに…。「もしや悪い病気かも」と心配になり、受診するようなケースが目立つという。<以下略>
■E型肝炎の予防策
□シカやイノシシのみならず、豚(豚レバー)も加熱処理する(生で食べないようにする)
□十分に加熱処理を行う(63度30分間と同等以上の加熱処理を行う)
□シカやイノシシ、豚以外の食肉も加熱調理を行う。特に、子どもや高齢者、抵抗力の弱い人は、生肉食はさける
https://news.yahoo.co.jp/articles/f488435630c59b0edea0162a9df1e845bf78acfc





