今年から開場した日本ハムの本拠地・エスコンフィールド北海道(以下エスコン)には早くも空席が目立っている。また、日本ハムが昨年まで使用していた札幌ドーム(以下ドーム)もイベント日程が埋まらず苦戦しているように見える。このままでは北海道の2つの箱が“共倒れ”になりそうな気配すら漂っている。
エスコンは建設の決定段階から大きな話題となり、マスコミが連日取り上げることで一種の社会現象とまでなった。新球場への興味は全国へ広がり、3月30日の日本ハム開幕戦(楽天戦)が各球団から1日前倒しで行われる特別措置まで取られた。
「何でそんなことしたんだろう?日ハムだけ。新球場オープンのために?足並みそろえてスタートして欲しいけどね」(野球解説者の中畑清氏/ニッポン放送『徳光和夫とくモリ!歌謡サタデー』)
中畑氏の真意はわからないが、日程にまで賛否両論が出るほど世間的な注目度は高まった。しかし満員近くまで埋まったのは開幕カードのみ。4月14日からの西武3連戦は週末にも関わらず平均約2万4000人にまで観客数が下落。初の平日開催となった18日からのロッテ3連戦は平均約1万6000人程度で2万人にすら届かなかった。
「シーズン席とVIP席の売れ行きは好調だったが、一般席は試合によっては即完売ではなかった。春先、寒い時期の平日は多少の空席が出ることも想定されていたが、ここまで早い段階で客足が鈍くなるのは想定外。正直、出鼻をくじかれたように感じる」(日本ハム担当記者)<中略>
一方、対照的に昨年までの本拠地であった札幌ドームはどうなっているのだろうか。
「ドーム側の日本ハムに対する強行姿勢が本拠地移転を招いたため、悪者となって各方面から叩かれた。エスコンには夢が溢れていると思われたが、蓋を開けてみると問題が山積み。日本ハムとエスコンが叩かれ始め、ドーム関係者は逆風が弱くなってホッとしているはず」(在京テレビ局スポーツ担当者)
ドームでの日本ハム戦では使用料が発生し、球場内での広告や飲食の収入もドーム側に入る契約で、年間20億円超とも言われていた。条件変更のため話し合いを重ねたが決裂し、新球場のエスコン建設を決断することにつながった。ドームは日本ハムが去った後も「他イベント開催によって経営には問題ない」という姿勢を貫いていたが、野球ファンや市民からは多くの反感を買っていた。
「(日本ハムが去った後は)苦戦しているのは明白。サッカー(Jリーグ)を経営の柱と考えているようだが、年間70試合近くある野球に比べサッカーは20試合程度と元々の数が少ない。高校野球、サッカーなどの開催は決定しているものの、他イベントも現時点で決定しているものは多くなく、先行きは明るくない」(大手スポーツマーケティング関連会社)
「球場内の広告看板は、サッカーのテレビ中継に映り込む場所以外は多くが撤退してしまった。これまでも音響があまり良くないと言われていた箱だけに、コンサート開催が激増するのも考えにくい。この状況でどうやって黒字経営となるのか……」(大手広告代理店関係者)
ドーム側は日本ハム移転直後の2023年度はコロナ禍の影響も織り込んで約3億円の赤字を想定。だが、翌24年度には黒字に転じ、23年度以降の5年間で900万円の黒字を見込んでいるという。試算発表当時から疑問視されていたが、予想を上回るほどの厳しい道が待っていそうだ。
「ドーム側は『札幌市からはお金を入れず、独立採算で収支を成り立たせていく』と力説するが難しいのではないか。2002年にサッカーW杯で建設された他施設同様、自治体からのサポートを受けるのは時間の問題だろう。かつての大阪ドームのように経営破綻という最悪のケースにならなければ良いのですが……」(在京テレビ局スポーツ担当者)
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