ドラえもん人気の低さについて「欧米圏」と括るのは乱暴すぎる。イタリア・スペイン・ポルトガルではめちゃくちゃ人気です。文化圏で括るなら「なぜゲルマン圏ではドラえもんがウケないのか」と言う方が現実に即してます。そしてそれは指摘の通りもしかしたら経済発展と関係しているかもしれません。 https://t.co/DpEaFuzgqy
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
アニメーションの放映
アニメーションはこれまで、北米(アメリカ合衆国、カナダ)、中南米(ブラジル、コロンビア、チリ、アルゼンチン、エクアドル、ボリビア、ペルー、パラグアイ、ベネズエラ、パナマ、メキシコ、プエルトリコ、キューバ、ドミニカ共和国、ニカラグア、コスタリカ、ホンジュラス、エルサルバドル)、ヨーロッパ(スペイン、イタリア、フランス、ポルトガル、ポーランド、ベラルーシ、ロシア、イギリス)、中東(サウジアラビア、カタール、UAE、オマーン、レバノン、イスラエル、トルコ)、アフリカ(エジプト、アルジェリア、リビア、モロッコ、チュニジア、ケニア、南アフリカ)、東アジア(中国、香港、マカオ、台湾、韓国)、東南アジア(インドネシア、マレーシア、タイ王国、ベトナム、フィリピン、シンガポール、カンボジア)、南アジア(インド、バングラデシュ、ブータン、ネパール、パキスタン)、オセアニア(オーストラリア)でも放送された。
木村純一プロデューサー(1998年当時)によると、東南アジアでのテレビアニメの放送は視聴率が70パーセントを超えることもあるという。東南アジア諸国では、ママがドラえもんの道具でやり込められると子供が大喜びする という特徴も見られる。
アメリカ合衆国では、1985年にCNNのテッド・ターナーが50話分の放映権契約を結んだものの長らく放映が実現しなかったが、2014年よりディズニーの子供向けチャンネルディズニーXDで放送が始まった。このアメリカ放送版は、単なる吹き替え版ではなく現地の文化や生活習慣に合わせて様々な変更を加えられたローカライズ版であり、舞台をアメリカの架空の街に移し登場人物名も英語名風にするなどアメリカの視聴者になじみやすいように設定に改変を加え、フィクション作品の中でも健康的な食生活を推進するという規則に従ってのび太が食べるおやつがフルーツになるなど、アメリカの子供番組の放映基準に合わせた細かな画像の加工や差し替えも行われている。日本では2014年7月から8月にかけて行われたイベント『テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION』にて日本語字幕版として初公開上映 を経て、2016年2月1日からディズニー・チャンネルにて『Doraemon』のタイトルで日本語吹き替え版の放送を開始した。
スペインでは、上述の漫画版のように複数の言語で放送されて高い人気を得ている。2014年の9月から12月には94年の放映開始から20周年を記念して、視聴者参加型のアトラクション番組「Doraemon Land」がシリーズで放映された。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%81%88%E3%82%82%E3%82%93
各地域でのドラえもん人気の有無の理由を勝手に推測するに…
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
① 経済発展の早さ
② 子供向け作品のニッチの有無
③ 東アジア的感覚への理解
あたりはあるだろうと思っていて、まず上で挙げたドラえもんがウケた国に共通するのが「西欧では比較的経済発展が遅れた国」だということ。
経済的に出遅れたゆえ、英米等よりも日本から(当時は)非常に安価で高品質なアニメ番組を買い付けて放送しようという動機が働いた可能性が考えられます。その背景にはテレビ放送の民営化・自由化が遅れたこともあり、特にスペインとポルトガルは独裁政権が長かったゆえにこれが顕著です。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
そして子供向け作品のニッチの有無。幼年期の子供に与えるコンテンツは情操教育の上で重要な時期であるゆえ、輸入ものが割って入る余地が少ないです。特に経済的に発展して自国で子供向け作品を作る能力がある地域ではわざわざ日本の作品を輸入する必要性が薄いため、ドラえもんは選択肢から外れます。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
また、ゲルマン圏は高緯度に位置する国が多く、概して日照時間が少なく気候が寒冷です。地理的・気候的な条件として屋内での子供向けの娯楽が発展しやすい背景があり、児童文学や絵本など自国産の子供向けコンテンツが充実している傾向があります。
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もう一つ考えられる理由が宗教的背景。ゲルマン民族圏の多くはプロテスタント圏でもありますが、グーテンベルクの発明以降、聖書の普及のために印刷技術が積極的に導入され、早くから子供向けの読み物が充実した傾向があります。現代において広く親しまれている童話の多くはゲルマン圏発祥のものです。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
ゲルマン圏の国でも今となっては日本のアニメと漫画は高い人気を誇っていますが、全体的な傾向として「幼年期向け作品の人気は低い」というのがあり、主に小学校高学年以降でウケやすい作品を中心に受容されているというのは言えると思います。(ゲームを介して入り込んだポケモンは外れ値的存在)
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
これは自国産カートゥーンという不動の存在があるアメリカで特に顕著で、日本のアニメが市場に受け入れられたのは「ちょっと背伸びしたいティーン向けの格好いいカートゥーン」というのが不在でそこにニッチを見出したことが大きいのです。だからアメリカでは今でも「厨二的」アニメがウケやすい。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
既に自国において成熟した子供向けコンテンツ産業が存在するならば、わざわざ日本のアニメや漫画を子供に与える動機が薄くなるというのは当然の帰結でしょう。自国での産業成長が立ち遅れた地域では逆に(正規・非正規問わず)他国から子供向けの優れた作品を持ってこようとする動機が発生します。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
最後に文化的な相性という点ですが、これについてはアジア的な家族観や倫理観・理屈というのが北西ヨーロッパでは通じにくいというのがあるでしょう。ドラえもんのような子供向け作品ではそこの相違が大きな障壁になるうえ、笑いのツボというのも文化的差異が広がるとセンスの乖離が増します。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
プロテスタント圏では個人主義的な傾向が強く、これは万人司祭という信仰的な要因に加え、寒冷地では概して農業生産性が低いため、肥沃な南欧と違い同じ土地に一族が根ざして支え合う習慣が比較的希薄です。アジア的な家族観や甘えたのび太のようなキャラクターが受け入れにくいというのはあるのでは。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
文化的な乖離が大きければ大きいほど幼年期の子供に与えるコンテンツとしては忌避感が増しますし、子供自身の好みというより親が選びにくくなる傾向はあるでしょう。自分で選べるようになる年齢以上を対象とした作品と違い、幼い子供を相手にしたものは「親に好かれる」必要性が高くなりますから。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
これら挙げた要素を考える上で、当て嵌まらない国や地域があるというツッコミも当然生じるでしょう。例えばゲルマン圏であってもオーストリアやスイスはカトリックが多数です。しかしコンテンツというのは言語圏・経済圏で広がるものであるため、主にドイツのものがこれらの国には入ることになります。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
なのでドイツ語圏で最大勢力であるドイツでのメディア受容事情にオーストリアやスイスは大きく振り回されることになるため、宗教的な背景に違いはあれど「広義のドイツ圏」として括って語ることは可能だと思います(オーストリア人が怒りそう)。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
また、大きな例外としてフランスやベルギーも挙げられます。ドラえもんは一応フランスで吹き替えられ放送された実績がありますが、他のロマンス圏と違いヒットには至りませんでした。これは私にも悩ましい例ではありますが、前述の「ニッチの有無」を例にして説明することは可能です。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
フランスやベルギーではバンド・デシネのように自前のコミック文化が盛んであり、カートゥーンも多く製作しています。幼年期の子供へのコンテンツ供給が自給自足で成り立っているので日本の作品が割って入れる余地が少ないというのはあるでしょう。経済的発展が比較的早かったというのも大きいはず。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
ただこれら二国はゲルマン圏と比べて日本の漫画・アニメの受容が早く、高い人気を誇っているという事実はあります。それでもスペイン・ポルトガル・イタリア等と比べると、受け入れられている作品の対象年齢が多少高めというのは印象としてありますし、ニッチと需要で説明は可能であるように思います。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
また、スペイン・ポルトガルと比較すると中南米においてドラえもんの存在感はかなり低いのですが、これも理由を考察するのはなかなか難しいところです。アメリカからのカートゥーン流入というのを原因として仮定したいところですが、これだけで上手く説明できるかは分かりません。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
伸びているので補足しておくと、英語圏におけるドラえもん売り込みの歴史は長く、全く挑戦しなかったというわけではないのです。1980年代にはアメリカのターナー・ブロードキャスティングが番組を買い付けて放送する予定でしたが、何らかの予定で中止されています。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
他にもカナダで制作されて少なくともカリブの国バルバドスで放送されたことは確認されている英語吹き替えが存在し、こちらは“The Adventures of Albert and Sydney”という題に改変され、キャラ名もアルバート(ドラ)やシドニー(のび太)など全面的に変えられています。 https://t.co/YBBEknA1J3
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
カリブ地域向けにこうした吹き替えをわざわざ作るとは考えにくいので、恐らくは北米地域での放送を想定して作ったものの買い手が付かず、バルバドスのような小国でのみ放送されるに至ったのでしょう。権利を買い付けて吹き替えまで作ったものの放送局が見つからずにお蔵入りする作品は多々あります。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
90年代にはイギリスにおいてMTV(あの音楽チャンネル)で放送する計画がありパイロットまで制作されましたがこちらも中止。放送局からして判る通り、子供向けコンテンツとして真面目にやる気など毛頭無く、役者にアドリブで下ネタじみたことを言わせるような“ギャグ・ダブ”となっています。 https://t.co/nMaIh1NId9
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
本来売り込む市場が無い作品を改変してウケやすい形にしてしまえという試みは度々あり、2000年に同イギリスのBBCでコメディアンを起用したうる星やつらの破茶滅茶な吹替が放送されたりしています。日本側のチェックが厳しくなっている今となっては許されないであろう手法ですが、昔はよくありました。 https://t.co/oTgMv9njnB
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
アメリカにおける類似例としてFunimation社によるクレヨンしんちゃんの吹き替えがあり、こちらも子供向けとしては売り込む余地が無いため、サウスパーク的なものを狙って下ネタまみれにしたりして大幅に改変されています。(「だって夜にママがNO, NOって言ってもパパがYES!って言ってたでしょ」) https://t.co/UYlnpdZL7x
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
そしてご存じの方も多いかと思いますが、2014年にはアメリカでディズニーが現行版のドラえもんを吹き替えて放送しました。キャラ名は英語話者にとって馴染みやすいよう改変され(のび太→Noby・しずか→Sue)映像面でも文化的な描写がアメリカ風に描き換えられたりしました。しかしヒットには至らず。 pic.twitter.com/iojv3ZVzxu
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
翌2015年にはイギリスで別の英語吹き替えが放送されており、アメリカ版とは違い映像の改変は場面カット以外行われていません。既にドラえもん人気が確立していたスペインのLuk Internacional主導で製作されたもので、香港人のキャストを起用して吹き替えられています。こちらも残念ながら長続きせず。 https://t.co/4RG4VNbul2
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
以上のように英語圏にもドラえもんは何度も売り込まれた過去があるのですが、放送に至らずにお蔵入りしたり放送されてもあまり人気を得られなかったり、ずっと苦難の道を歩んできています。やはり自前の子供向けコンテンツが非常に強い市場に割って入ろうとしても難しいことが分かります。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
明確な根拠がある話ではありませんけども、肌感覚として南ヨーロッパは文化面で「日本と波長が合う」というのは感じるところがあり、イタリアとフランスでは欧米だと例外的に北斗の拳がヒットしているんですよね。特にイタリアではいまだに高い人気を誇り、映画の再上映も去年行われています。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
北斗の拳もドラえもん同様にある種の文化的な近さのバロメーターのような作品で、「美しい女を巡る漢たちの争いと死に様」というテーマがウケるか否かというのはかなり明確なラインがあるように思います。中華圏やアラブ諸国、上記南欧2国ではヒットしていますが、それ以外ではメジャーとは言えず。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
なお興味深い例としてアラビア語圏は他と異なり幼い子供向けや日本の風俗に深く根ざしたアニメ作品がかなり積極的に輸入されており、アンパンマンをはじめとしてジャンケンマンやらちびまる子ちゃんやら、他地域ではあまり見られない作品も多々放送されています。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
アジア的な感覚への共感と恐らくは欧米への反発というのもあるでしょうし、経済的に欧米産のものより安い日本のコンテンツの需要があったという側面も大きいはず。そして宗教的な理由からより高年齢向けの作品となると表現上の問題で放送しづらいので、子供向け作品に偏るという傾向もあるでしょう。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
なお日本作品の受容という面でいえば何といっても韓国はドラえもん含め基本的に何でも受け入れているし(韓国製作品だと思ってるとかいう昔の与太話は忘れるべし)、文化的・地理的な近さ(そして旧植民地・宗主国としての経済的近さ)というところからある意味で語る以前の話なので深入りはしません。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
そういえば忘れていましたがインドも作品受容の面では特異点的な存在です。ドラえもんやハットリくんなど藤子作品の人気が高いほか、こち亀やらおぼっちゃまくんやら果てにはツルピカハゲ丸やら、そこまで??と言いたくなるほどにギャグ系作品が人気を博しています。笑いのツボが似ているんでしょう。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
こち亀に関しては欧米だとスペインで例外的にヒットしています。スペイン人は赤塚不二夫作品も好きですし(おそ松くんもバカボンも人気)、インドと同様に日本人と笑いのツボが似ているようです。ギャグについては合わなければ本当に全く合わないものなので、文化的な背景に特に左右されやすい点です。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 9, 2025
90年代にイタリアに行ったらあらゆる日本のアニメ放映してました。
— よーちゃん🏴 (@ObaYozoHL) September 8, 2025
(サザエさんは流石になかったですが。)
70〜80年代南欧キッズだとマジンガーZがノスタルジーっていう。
イタリアはヨーロッパの中でも特に「そんなのまで?」と言いたくなるほど何でも日本の作品は放送してますね。黄金バットとか。メディア王にして元首相のベルルスコーニが安くて面白い日本の番組に目を付けて積極的に買い付けたのもアニメ普及をかなり後押ししたようです。
— ΝΑΠΠΑ (@nappasan) September 8, 2025
他の国についてはよくわかりませんが、スペインで日本のアニメが人気を得たのは、カタルーニャの州営放送局が子ども向けコンテンツとして日本のアニメをカタルーニャ語に吹き替えて放送したら大人気になり、その後スペインの他地域などにも波及したことも大きいですね。
— Miguel Hirota (@mig76fk) September 9, 2025
そういえばスペインサッカーの名門バルセロナのバルトメウ前会長はあだ名がのび太でしたね。
— S部長 (@TVakatuki) September 9, 2025
スペインが昔から人気なのは知ってますけどイタリアとポルトガルも人気なのは知らなかったですね。
— ISH(いっしゅ) (@FightingDog_ISH) September 9, 2025
確かにゼロ年代に苦戦したジャンプ北米進出の突破口が、貧困家庭御用達の無料ケーブルチャンネルだったのを思い出しました。そしてプリキュアと魔法少女アニメが現地女児カートゥーンに仕様だけパクられ現在も苦戦中なのも
— goma (@gomakich) September 9, 2025
あと見逃せないのが、登場人物達の人種だと思う。(ほぼ全員黒髪)
— sasamo (@sasamo5) September 9, 2025
欧州でも黒髪が多数派の国ではドラえもんは受け入れられた。
アングロサクソンでは負け組が負け組のまま主役になる事は禁忌感強いんじゃね?
— オレオレポレポレ (@trill34008) September 9, 2025
一方でそれ以外の世界では普通に負け組が日常に顕現して、在り様も色々あって燻ってる層のガス抜き需要がある気がする