1:名無しさん




FAXのカラー送信は技術的にはすでに可能であり、対応機種を使えば実際に送信することもできます。しかし、現実のビジネスシーンではカラーでFAXを送る機会はほとんどありません。その主な理由として、機器の対応状況、通信環境、運用上の手間など、実用面での課題が多く存在するからです。

まず第一に、カラーFAXに対応している機種自体が非常に限られているという問題があります。送信側のFAX機がカラーに対応していたとしても、受信側の機種が対応していなければカラーで送る意味がなくなってしまいます。現状では、多くのFAX機器がモノクロ送信・受信を前提に作られており、カラー対応は一部の高機能モデルに限られています。特に取引先や顧客といった外部にFAXを送る場合、相手がどのような機種を使っているかを都度確認するのは現実的ではなく、多くの企業が無難にモノクロで送信する運用を続けています。

また、カラーFAXは使い勝手の面でも大きな課題があります。FAXの通信は基本的にモノクロでの送受信を前提とした電話回線と通信規格を利用しており、カラー画像のようにデータ容量の大きい情報を送るには適していません。カラーFAX対応機種同士であっても、通信速度が遅く、画質が悪くなることが多く、結果として原稿の内容が正確に伝わらない可能性があります。特に細かい色の表現や解像度が必要な資料では、モノクロ以下の品質になることさえあり、わざわざカラーで送る意味がなくなってしまうケースもあります。

さらに、FAXの通信速度そのものが非常に遅いという問題もあります。現在使用されている通信規格には「G3」「SuperG3」「G4」などがありますが、もっとも広く普及しているのはG3で、転送速度は14.4kbpsと非常に低速です。SuperG3でも33.6kbps、最も高速なG4でも64kbps程度であり、現代のデジタル通信と比べると非常に非効率です。しかも、FAX通信は双方の機種のうち、より低速な規格に合わせられる仕組みのため、送信側が高速でも受信側がG3であれば通信速度は結局G3に引き下げられてしまいます。これは、大容量のカラー画像を送る際には致命的な遅さとなり、業務効率の面からも好ましくありません。

https://www.41copy.jp/column/operation/80-fax-color.html/