https://mainichi.jp/articles/20220210/k00/00m/040/328000c
1月に行われた大学入学共通テストの試験時間中に「世界史B」の設問を撮影した画像が外部に流出した問題で、警視庁捜査1課は10日、流出に関与したとして1月27日に香川県警に出頭した受験生の女子大学生(19)=大阪市=と、画像送信の中継役となったシステムエンジニアの男性(28)=横浜市=を偽計業務妨害容疑で書類送検した。捜査関係者への取材で判明した。ともに容疑を認めている。
捜査関係者によると、女子学生について「保護観察相当」、男性については検察に起訴の判断を委ねる「相当処分」の意見を付けた。女子学生と男性は、事件の半年ほど前に友達を探すマッチングサイトで知り合った。女子学生が男性に「お金を払うから不正を手伝って」などと依頼していたという。実際に会ったことはないとみられる。
2人は1月15日午前の試験中、事情を知らない東京大学の学生4人に対し、インターネット通話アプリ「スカイプ」で世界史Bの設問の画像を送って解答の返信を受け、試験を実施した大学入試センター(東京都目黒区)の業務を妨害した疑いがある。女子学生は2021年12月、登録した家庭教師の仲介サイトのメッセージ送信機能を使い、「高校2年」と名乗って東大生ら複数の大学生に対し、共通テスト当日に送る問題を解くよう求めていたとされる。
男性は、女子学生が撮影した動画を外部から編集して静止画にし、女子学生のスカイプのアカウントから東大生に送っていたとみられる。東大生は試験問題とは知らずに解答を返信したが、その後、不審に思ってセンターに通報。センターが警視庁に被害届を提出し、同庁が捜査していた。
女子学生は1月27日に香川県警丸亀署に出頭し、「上着の袖に隠したスマートフォンで設問を動画で撮影し、静止画にして送った」などと関与を認めていた。その後の任意の調べで、協力者がいたことをほのめかしたため、警視庁が男性を特定して2人を立件した。【最上和喜、鈴木拓也、木原真希】