大阪府高槻市の民家で昨年7月、この家に住む会社員の高井直子さん(当時54)が浴槽内で死亡しているのが見つかり、大阪府警は25日、高井さんの養子になっていた川崎市高津区坂戸3丁目、無職の高井凜容疑者(28)=詐欺容疑などで逮捕=を殺人や詐欺未遂などの疑いで再逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
高井凜容疑者(28)は関西の有名私立高の出身。同校で強豪のアメリカンフットボール部に所属し、花形のクオーターバックとして活躍した。高校3年時には関西選抜のメンバーに入った。関西学院大に進学直後、けがで選手の道は絶たれたという。
捜査関係者によると、大学卒業後、外資系コンサルティング会社を経て、2018年11月に外資系の大手生命保険会社に転職した。保険外交員として働く中で高井直子さんと知り合ったという。
捜査関係者によると、高井容疑者は20年6月に同社を退社するまでに、死亡時に約1億円が支払われる高井直子さんの生命保険契約を仲介。一方で、その営業手法を巡っては「無断で別の保険まで契約されていた」といったクレームが勤務先に相次いだという。
高井容疑者の元同僚によると、この会社は歩合制で売り上げによって収入が大きく変わったという。学生時代から知る男性は「昔は金遣いが荒いところはなかったが、このころから暮らしぶりが変わった」と話す。都心の高層マンションに住み、高級腕時計やスポーツカーの写真をSNSに投稿するようになった。
退職から2カ月後の20年8月、都内の保険代理店に移った。この代理店の幹部らによると、高井容疑者は入社後すぐに約5千万円の生命保険契約を獲得した。今回の逮捕容疑につながる直子さんの生保契約だった。受取人は当時、直子さんの母。「契約自体に不審な点はなかった」という。
この幹部は高井容疑者について「数字だけみれば、『売れている営業マン』。業界全体で上位1割くらいの成績があった」という。ただ、前の職場でのトラブルを理由に入社から数カ月後、高井容疑者は国の生命保険募集人の資格を取り消され、保険の販売ができなくなったという。
21年2月に直子さんと養子縁組をすると、採用業務などにあたっていた高井容疑者の姓が「松田」から変わり、社内に疑問が広がった。当初は「親が離婚して、母親の旧姓が高井」などと説明していたという。その後、直子さんとの養子縁組や保険金の受取人を自身に変更しようとしたことが明らかになった。21年4月ごろに退社したという。
学生時代からの知人は今年2月、高井容疑者に会ったという。「『FXで稼いでいる』『2800万円の車を購入した』と言っていた。金銭感覚がずれてしまったように感じた」
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