フジテレビの情報バラエティ番組『ポップUP!』が、年内打ち切りで調整していることが「 週刊文春 」の取材でわかった。小誌が報じたパワハラ問題によるスポンサー離れもその一因になったという。
4月に始まったばかりの『ポップUP!』。半年経たずの“スピード打ち切り報道”の背景には何があったのか。「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2022年6月16日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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フジテレビの情報バラエティ番組『ポップUP!』。4月から始まったばかりの同番組のスタッフが、二度、自殺を図ったことが、「 週刊文春 」の取材でわかった。関係者によればチーフプロデューサー(以下、CP)X氏によるパワハラの疑いがあり、フジテレビは労働環境について調査を始めている。
■帰ろうとするA氏に『仕事も碌にしてないのに帰るの?』と一言
X氏は編成畑が長く、2019年に情報制作局に異動し、『とくダネ!』『めざまし8』などを担当。『ポップUP!』には立ち上げから関わり、前CPの体調不良により、CPに就任していた。
「元華族であり、スタッフは陰で彼のことを『天皇』『神』と呼んでいた。お気に入りの女性スタッフを自分の机の周りに置くので、その一帯は『竜宮城』と揶揄されていた」(番組スタッフ)
そのX氏の標的にされていたのが、アシスタントプロデューサー(以下、AP)のA氏だった。X氏とA氏は同い年だが、X氏はフジテレビの社員で、A氏は制作会社の社員。立場は圧倒的にX氏の方が上だ。
「XさんはAさんを『エース』『先輩!』と呼び、カロリーメイトなどお菓子を買いに行かせていた。『全然働かないから、仕事振ってもいいよ』と女性スタッフに言って、笑いを取ろうとしたこともあった。ある時、Aさんが22時ごろに帰ろうとするとXさんが『仕事も碌にしてないのに帰るの?』と一言。Aさんはしばらく局に泊まっていました」(同前)
■パワハラに耐え兼ね、70錠以上の薬飲み自殺未遂
事件が起きたのは5月12日の夜のことだ。X氏はいつも以上にA氏を叱責していたという。フジ社員が語る。
「Aさんの入稿した番組表の原稿が、Xさんは気に入らなかったようです。XさんはAさんに『入稿先業者に電話しろ!』と、営業終了後の業者に何度も電話をさせていた。そして、『明日、何度も電話してすみません、と謝罪しておけ』と言い捨てていました」
そしてその数時間後――。A氏はパワハラに耐え兼ね、自殺未遂を起こしてしまったのだ。
「朝、Aさんがふらふらの状態で廊下を歩いていました。聞くと、70錠以上の薬を飲んだというのです」(同前)
■「事実です」言葉少なに認めたA氏
その後、労務管理担当者がA氏に話を聞いたという。
「Aさん自身もディレクターやADから、仕事が辛いと相談を受けていたそうです。Xさんからのパワハラだけでなく、後輩の悩みも抱え込んでいたのでしょう」(同前)
そして5月22日、A氏は自宅で大量の薬を服用し、二度目の自殺未遂を起こしてしまった。異変を察知した局員が救急車を呼び、A氏は一命をとりとめ、二日後に退院した。今は休職中だ。
A氏の自宅を訪ね、パワハラや自殺未遂について確認すると、言葉少なに「事実です」と認めた。
その後、X氏には労務管理担当者や情報制作局局長による聞き取り調査が行われた。
旬報法律事務所の佐々木亮弁護士が語る。
「ハラスメントを管理すべき立場のX氏がパワハラを行うのは問題。会社も安全配慮義務を怠ったと言える。A氏の医療費の支払や、精神的苦痛に対する慰謝料を支払う責任も生じ得ます」
■フジテレビ広報による回答
X氏を電話で直撃すると「会社に連絡してください」と言うのみ。フジ広報にX氏によるパワハラ、A氏の自殺未遂、聞き取り調査などについて質問状を送ると、概ね次のように回答した。
「御誌の質問には当社の認識と異なる内容が含まれていますが、ご指摘があった番組CPの言動等に関しては、当時の状況など詳細を確認しているところです。社員・スタッフが働きやすい環境を整えることは、すべての番組や職場において重視しており、当該番組についても改めて適切なあり方を検討しております」
4月から始まったばかりの番組で、一体、何が起こっているのか――。
このほか、番組スタッフが置かれていた過酷な労働環境、A氏以外のパワハラの被害者、X氏がオファーした番組出演者などを、「 週刊文春 電子版 」で詳報している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf2528c3b40b6db03e84b2003792a1cc7bbdabd8
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