北海道標茶、厚岸の両町で放牧中の牛が相次いでコードネーム「OSO(オソ)18」で呼ばれる大型の雄のヒグマに襲われている問題を巡り、地元で対策と捕獲に向けた試行錯誤が続いている。10日に標茶町であった会議で、2、3月に行った集中捕獲作戦の報告があったが、「捕獲に至らなかった」という。一方、行動圏に近い国有林にエゾシカの死骸(しがい)が放置されていることも明らかになった。オソ18をはじめヒグマを引き寄せる原因になる可能性がある。
エゾシカ死骸放置も問題に
オソ18は2019年7月に標茶町の下オソツベツ地区で乳牛を襲った。その後も放牧中の牛の被害が続き、21年秋までの2年余りで計57頭が襲われて、うち26頭が死んだ。
この日の会議は捕獲に向けて、冬眠明けの2~3月、ハンターによる集中捕獲作戦を展開したものの、捕獲に至らなかったことが報告された。一方、作戦と過去の襲撃や出没地点の分析で大きな「成果」もあった。オソ18の行動圏がほぼ特定されたほか、付近に前脚の幅が18センチあるヒグマがほかにも生息していることなどが分かった。
会議に出席したNPO法人「南知床・ヒグマ情報センター」の藤本靖理事長によると、越冬地は上尾幌地区の可能性があるという。「デントコーン(飼料用トウモロコシ)を狙って動いており、(移動の)ついでに牛にちょっかいを出している可能性が大きい。秋にデントコーンの刈り取りをするときが最大の捕獲のチャンス。いまのうちに(過去に)デントコーンの被害が出た畑をマークした地図や刈り取り時期の情報を伝えてほしい」と今後の対策の方向性を示した。
この会議では取り上げられなかったが、新たな問題も浮上した。オソ18のこれまでの行動圏から直線距離で東に10キロ強の国有林で大量のエゾシカの死骸が数年にわたって不法投棄されていたことを道森林管理局(札幌市中央区)が7日に発表。ヒグマの出没を誘因しかねない状況になっている。
https://mainichi.jp/articles/20220617/k00/00m/040/037000c
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