ウラジーミル・プーチンのウクライナ侵攻を国営メディアの番組内で痛烈に批判し、話題になった軍事評論家のミハイル・キョーダリョノクが、ロシアのプロパガンダを放送する国営テレビ「ロシア1」チャンネルに再び登場した。
元防空司令官から軍事評論家に転身したキョーダリョノクは、5月16日にロシア軍の状況は「率直に言って悪化するだろう」と警告して世界的に話題となった人物だ。だが、わずか2日後の18日には、ロシアの軍事力について以前の主張とは180度異なる見方を示したのだった。
16日の番組の動画は600万回以上再生され、番組司会者オルガ・スカベエワの凍り付いた顔に注目が集まった。スカベエワはこれまで、軍事作戦の成功を大々的に吹聴し、ウクライナを支持する西側諸国を非難してきたことで、ロシア政府の「最高プロパガンダ責任者」と呼ばれている人物だ。
キョーダリョノクによる16日の発言は、「ロシア1」チャンネルの番組「60ミニッツ」を観ている何百万もの視聴者に対して、プーチンの「軍事作戦」の迷走をありのままに伝えるものとして驚きを与えたと見られていた。だがキョーダリョノクは18日、再び同番組に出演し、今度は一転して前向きな見解を示した。
■ウクライナ側の「成功」の主張には「根拠がない」
キョーダリョノクは、アメリカがウクライナに供与するM777榴弾砲の攻撃に成功した証拠とされているロシア国防省の動画に言及。これらの米国製兵器は、ロシアが「最も優先している標的」だと述べた。
「近い将来、これらの榴弾砲は残骸と化し、すべて記念品になると考えられるだけの十分な理由がある」とキョーダリョノクは語り、榴弾砲への攻撃は「達成されるだろう」と予言した。
さらにキョーダリョノクは、16日の番組ではウクライナ軍が「最後の一人になるまで戦う」意思があると警告したが、18日にはこの点についても態度を変えた。そして、ウクライナ軍による、「大きな成功を収めている」という主張や、「反撃を開始する」準備はできているという主張には「根拠がない」と述べた。
また、ウクライナとロシアの間で激しい争いが繰り広げられている黒海の小さな島、蛇島(ズミイヌイ島)についても、ウクライナ軍は奪取を試みたが「失敗」したと述べている。
キョーダリョノクは、ウクライナ海軍が蛇島を奪取する作戦を成功させるには、「少なくとも数カ月以内に制空権を獲得する必要がある」としたうえで、それは「不可能」だと断言。さらに「(ウクライナ海軍が)上陸作戦を実行するには、制海権を獲得する必要がある。しかし、黒海に私たちの黒海艦隊がいる限り、ウクライナの黒海艦隊が覇権を握ることは不可能だ」とした。
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