米Broadcom(ブロードコム)がVMware製品のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を終了したことに伴い、国産サーバーメーカーがVMware製品をバンドルした製品を販売できなくなったり、既存製品の保守を提供できなくなったりしていることが、日経クロステックの取材によって2024年7月16日までに分かった。メーカーやユーザー企業がブロードコムの動きに翻弄されている。
「富士通から購入した製品にもかかわらず、『当社では面倒を見られない』と言われ、一方的に保守打ち切りを告げられた」。
悲痛な声を寄せるのは、富士通製HCI(ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャー)製品を長年使用するユーザー企業A社の担当者だ。同社は2024年4月、富士通からHCI製品の保守打ち切りについて通達があったという。
「VMware製品をサポートできなくなったため、保守の自動更新を停止したいという趣旨だった。当然あらがったが、『できない』の一点張りだった」(A社担当者)。A社は今も、保守切れの状態でのITインフラストラクチャー運用を余儀なくされている。
サーバーメーカーへのOEMライセンス提供を一斉廃止
富士通に何が起こっているのか。実はブロードコムが米VMware(ヴイエムウェア)を買収し、その後VMware製品のライセンス見直しに乗り出したことが大きく関係している。
ブロードコムは2024年1月までに、VMware製品のライセンス体系を大きく見直した。これまで単体で購入できた各種コンポーネントが今後はバンドルで販売されることとなり、これが多くの顧客にとって「値上げ」に相当するため注目された。ただ実は、値上げ以外に深刻で国内外のサーバーメーカーを苦しめているのがOEMライセンスの廃止問題だ。
従来、サーバーメーカーはヴイエムウェアから仮想化製品についてOEMライセンスの提供を受け、自社のハードウエアにVMware製品をバンドルして販売していた。代表格がサーバー、ストレージ、ネットワークという3種類のハードと仮想化ソフトを統合したHCIだ。ユーザー企業にとってHCIは、ハードとソフトが一体提供されるため短期導入が可能であったり、運用負荷を軽減できたりするといったメリットがあった。HCIはこれまでVMwareの普及に大きく貢献してきた製品だ。
ただ、ブロードコムがVMware製品ライセンスの見直しの一環でサーバーメーカーへのOEMライセンスの提供を一斉に廃止したため、ベンダー各社はvSphereなどをバンドルしたサーバーやHCIの販売も「一時」停止せざるを得なくなった。ここで「一時」としたのは、後にブロードコムが一部のサーバーメーカーに限り、OEM提供を再開すると発表したからだ。
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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02864/070900007/
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