東京都千代田区一番町の英国大使館跡地から弥生時代の集落跡が見つかったことが千代田区への取材で分かった。見つかったのは三菱地所レジデンス(東京都)などが再開発を進めている土地で、縄文時代のものも含めこれまでに竪穴住居跡が28棟確認された。ただ、遺跡として現地に残すことは難しい見込みで、調査後に埋め戻されてマンション建設が始まる予定。現地説明会も開かれない。都心における遺跡活用の難しさを改めて浮き彫りにした。
千代田区などによると、10月下旬までにこの土地で見つかった弥生時代後期前半(1~2世紀)の竪穴住居跡は21棟。縄文時代のものも3棟あり、そのうち1棟には貝が残っていた。時期が不明の竪穴住居跡も4棟あった。弥生土器や縄文土器も出土し、近世の上水木樋(もくひ)や井戸、地下室なども確認された。
調査は2024年3月まで行われる。調査対象となった約7700平方メートルのうち、まだ約3700平方メートルしか調べておらず、新たに遺跡が見つかる可能性が高い。
明治大の石川日出志教授(考古学)は「都心で発見されたことに驚いた。そもそも弥生時代後期前半において、これほど住居数のある集落が発見された例は関東南部ではほとんどない。当時の暮らしぶりが分かり、学術的にも重要だ」と話す。
千代田区も今回の遺跡を重大な発見とみているが、現時点で国が指定する史跡相当の発掘とは言えず、発掘内容を記録した上で遺跡を埋め戻す方針だ。
一方、千代田区と三菱地所レジデンスは遺跡の一部だけでも残すことや、発掘を公表した上で現地説明会を開くことについて協議を重ねた。しかし、同社の同意を得られず断念した。発掘された遺跡の取り扱いは開発業者や地権者の意向が最優先される。同様のケースは少なくないという。
遺跡調査の費用は原則として開発業者などが負担することになっており、今回も三菱地所レジデンスが払っている。三菱地所の広報担当は「法や条例にのっとり行政と相談しながら対応している」としている。
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