2022年7月5日、同人誌を愛する方々の間に激震が走りました。同人誌専門店の老舗「とらのあな」が国内に残る6店舗の直営店のうち、池袋店を除く秋葉原店A、新宿店、千葉店、なんば店A、梅田店の閉店を発表したのです。また、2021年10月から営業を停止していた名古屋店も再出店を断念しました。
閉店の理由としては、新型コロナウイルスの影響により店舗での購入者数が減少し、代わりに通販事業が大幅に伸びた背景があります。とらのあなのIR資料によると、新型コロナウイルス流行前の2020年度の第一四半期は店舗での購入者数は約41万人で通販の受注数が119万件となっています。しかし流行が始まった第四四半期は店舗購入者数が12万人にまで減少していますが通販受注数は114万件とほぼ変化がなく、顧客が通販志向を強めているのが見て取れます。
2021年に入ると第四四半期には店舗購入者数24万人に対し通販が240万件と、通販事業がより活性化していることが分かります。
年間の数字を見ても、2020年度は店舗購入者数が118万人で通販が490万件、2021年度は105万人に727万件となっており、通販が圧倒的な伸びを見せています。特に女性向け同人誌販売に関しては通販が97%、池袋店が2%、残りの店舗で1%を分け合う状況となっており、オンラインへのシフトが顕著です。
また、2018年度からスタートしたクリエイター支援サービス「ファンティア(Fantia)」も順調に数字を伸ばしており、初年度は3億円だった流通総額は2021年度には71億円へと成長、2021年度は121億円の売り上げが見込まれています。<中略>
まず重要なのが、近年とらのあなは競合のメロンブックスに押されつつあったという点です。
コミックマーケットなどの同人誌販売イベントでは売れ残った同人誌やグッズを回収し、そのまま委託するサービスがありますが、2021年末に開催されたコミックマーケット99を筆者が取材した際に、メロンブックスの委託受付所は行列ができていましたが、とらのあなの委託所はそれほど人がいなかったのを確認しています。
これは同人作家にとって最優先されるのはメロンブックスであることを示しており、とらのあなの存在感が低下していることを意味しています。この状況下でのリアル店舗の閉鎖は、作家の心理にプラスの影響を与えるとは考えにくい部分があります。
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https://magmix.jp/post/101293
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