「万博より復興」神経とがらす 工事内容異なるとの声も
能登半島地震を受け、2025年大阪・関西万博の中止を求める意見がインターネット上などで再燃している。会場建設に関わる人員や費用を復旧・復興に充てるべきだとの考えからだ。万博と復興は工事内容が違うため「関係ない」との見方が大勢だが、会場建設費の高騰などで批判を受けた直後だけに、関係者は神経をとがらせている。
岸田文雄首相は22日、斎藤健経済産業相らを首相官邸に呼び、「復興に支障がないよう、万博関連の調達を計画的に進めるように」と指示。万博関連費の上振れを避けるため、第三者による継続的なモニタリングも求めた。万博が被災地復興の妨げになるとの世論を意識したとみられる。
今回の地震で能登半島の道路や水道管などのインフラが大きなダメージを受けた。万博を中止して作業員や資材を被災地に振り向けるべきだとの指摘が相次いでいる。
大阪府の吉村洋文知事は「なぜ(万博と復興が)二者択一になっているかよく分からない」と強調。日本国際博覧会協会(万博協会)会長を務める経団連の十倉雅和会長も「被災者の救援や救助、生活やまちを戻すのを最優先でやるのは当たり前。それをしながら万博(会場)も完成させる」と、同時並行で進める考えを示す。
大阪府内の建設業界関係者によると、被災地では土木工事が中心で、パビリオンなど建物の整備と作業内容は重複しないという。万博協会幹部は「会場の土木工事は9割を終えた」。別の建設会社役員も「万博は既に土木とは別のステージ。全く影響はない」と話す。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024012300138&g=pol