現地時間3月15日に行なわれたWBCのプールD、プエルトリコ対ドミニカ戦。スターティング・メンバーにはMLBのスター選手を揃える両チームだが、ともにベネズエラに敗れており、勝ったほうが準々決勝に駒を進めるという、言い換えれば負ければそこで敗退が決まる、まさに大一番のゲームだった。
試合は3回に怒涛の攻撃で4点を先制したプエルトリコがリードを守りきり、5対2で勝利を収めた。しかしこの試合の終了後、最終回を締めたプエルトリコのクローザー、エドウィン・ディアスが負傷したことから、現在、アメリカのベースボールファンを二分する大きな議論が起こっている。
【試合後に起きた衝撃の出来事】
衝撃の事件は試合終了直後に起こった。チームの絶対的クローザーであるディアスが試合を締め、ベンチから選手が飛び出し、マウンドに歓喜の輪が広がった。しかし、その輪の中心でうずくまり立ち上がれないディアス。プエルトリコ・ナインはすぐさまチームドクターとトレーナーを呼び寄せる。
このあたりで、準々決勝進出が決定し、お祭り騒ぎの客席も異変に気づき、スタンドには不穏な空気が流れる。敗戦に肩を落とすドミニカのベンチでさえ、心配そうに見つめるという異様な事態だった。結局、自力で歩くことのできないディアスは車椅子に乗せられ球場を後にした。
プエルトリコ代表のヤディアー・モリーナ監督も肩を落とし、心配そうに見つめ、弟のアレクシス・ディアス(レッズ)にいたってはグランド上で号泣するという、およそ勝利チームとは思えない光景が広がっていた。試合を中継していたFOXスポーツの実況もこうコメントするのが精一杯だった。
「こんな幕切れは予想していませんでした。ディアスのケガが重症でないことを祈るばかりです」
しかし翌日、所属先のメッツから発表された検査結果は、右膝の膝蓋腱の断裂というあまりにも重いものだった。その日のうちに手術が行なわれ、無事に成功したという発表もなされたが、全治8カ月、今シーズン絶望という結果は皮肉にも今大会でもっとも注目を集めるニュースとなってしまった。
28歳のエドウィン・ディアスは、昨季61試合に登板すると32セーブをあげ、防御率も1.31とメジャー屈指の成績を残した。シーズンオフにはメッツと救援投手史上最高額となる5年1億2000万ドル(約150億円)の超大型契約を交わしたばかり。入場曲として用いる『Narco』のトランペットは本拠地シティ・フィールドの名物となっている。
メッツのオーナーであるスティーヴ・コーエンの莫大な資産を元手に積極的な選手補強を繰り返し、悲願のワールドシリーズ制覇を目指すメッツにとって、この守護神の離脱はあまりにも痛すぎるニュース。ESPNを含めた全国のニュースでもこの一件が報じられると、ネット上はメッツファンにとどまらず、多くのMLBファンによるWBCへの批判で溢れることになった。
【マイク・トラウトの見解は?】
「恐れていたことが起こってしまった。こんな意味のない大会やる必要ないって言ったのに」
「この時期に開催するからこうなるんだ。各チームが選手を出し渋るのも当然だ」
「WBCの存在意義自体考えなきゃならない。肝心のシーズンに影響が出てるじゃないか」
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https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/npb/2023/03/19/wbc_21/
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