中国外務省は4日、インドで9~10日に開かれるG20(20カ国・地域)首脳会議に、李強首相が出席すると発表した。習近平国家主席は欠席する見通しとなりそうだ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も欠席を発表しており、中露トップが出席を見送るかたちになる。中国は軍事的覇権拡大を進める一方、国内経済の危機的状況も伝えられる。習氏の欠席の背景に何があるのか。<中略>
中国は現在、G20議長国のインドと係争地をめぐる国境紛争で関係が悪化しており、習氏はインド訪問に後ろ向きとみられていた。中国政府が先月下旬に公表した23年度版標準地図でも、インド北東部のアルナチャルプラデシュ州も中国領として記載され、インド政府が抗議している。
一方、国内事情が影を落としている可能性もある。
中国不動産大手「碧桂園」(カントリーガーデン)の債務危機や、同「中国恒大集団」の米国での破産法適用申請など、不動産バブルの崩壊が注視されている。失業率悪化も伝えられ、経済崩壊が現実味を帯びてきた。
習指導部と党長老が、河北省の避暑地で非公式に意見交換する「北戴河会議」が8月開かれ、対米関係悪化や経済低迷が議題に挙がったとされる。7月には秦剛外相が突如解任されるなど、異変が確認された。
中国事情に詳しい評論家の石平氏は「中国は現在、インドとの係争や、日本との処理水をめぐる対立など、近隣国と問題を起こしている。G20で当事国から問い詰められ、不利な立場に立つ修羅場から逃げている可能性がある。インドのナレンドラ・モディ首相と、ジョー・バイデン米大統領がG20を主導するなか、習氏は中心的立場になれない。出席しても国内へのアピール材料にならない。習氏は目標は高いだけで、実力がない『眼高手低』の人物といえる。中国に国際社会の覇権を握る資質はないが、習氏はなおさらだ」と語った。
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