あまりに酷い記事なので、何がどう酷い記事なのかを説明します。
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
>科学研究からはプラスチックのごみをよく食べるウミガメの方が、かえって生息数を増やしたことが分かった。
とありますが、このような説は初めて聞きました。(続く https://t.co/o68n7uvtAH
ごみが漂う海でウミガメが誤って食べたポリ袋を胃腸に詰まらせ、苦しんで命を落とす。テレビやインターネットの映像を通じて人々が思い描く環境問題のイメージだ。だが科学研究からはプラスチックのごみをよく食べるウミガメの方が、かえって生息数を増やしたことが分かった。ウミガメの悲話から世界に広がったプラスチックの使用を控える運動は、環境問題の深刻さを感情に訴える難しさを浮き彫りにした。
世界に7種がおり、絶…
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG23APV0T20C24A7000000/
おそらく、この記事の後半の記述「草食の傾向が強いアオウミガメは好物の海藻と誤認したかのように、ポリ袋に飛びついた。一方でアカウミガメはほぼ無視した。」を根拠に「アオウミガメ=プラスチックのごみをよく食べるウミガメ」としてこのような記述をしたのだと思いますが
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
(実際にアオウミガメの個体数は増えている)、完全に間違いです。この記述では「プラスチックのごみをよく食べる方がいい」とさえ解釈できますが、そのようなことを主張する研究者はいません。
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
>東京大学の佐藤克文教授は毎年夏、ウミガメが上陸する岩手県の砂浜に足を運ぶ。
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
この方よく知ってますしたいへんお世話になっているのですが、岩手県の砂浜にウミガメは上陸しません。夏の間、採餌にウミガメたちは岩手県あたりまで北上してきますが(なんなら北海道でも混獲・漂着記録はある)、
産卵のために上陸することはありません。岩手県で漁業混獲されるウミガメ類を対象に研究を進めている方で、当然本人がこんなバカなことを言うはずがなく、記者がまるで克文先生のハナシを聞いていないのがよくわかる記述だと思います。
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
>日本でも90年度に公益社団法人ACジャパンが「日本の浜辺で死んだウミガメの76%がビニールやプラスチックを食べている」という広告を出した。
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
この広告が何を一次資料としてこのような記述を入れたのかわかりませんが、僕も漂着死体の解剖現場にお邪魔して調査のお手伝いをする機会がありますので、
多くの個体がゴミを誤飲しているということは事実としていいと思います。ただ、90年度にこんな調査がされていたのだろうか?という疑問はあります。日本ウミガメ協議会が設立され現場の情報を集約するような体制が生まれたのがちょうど1990年で、当時はまだ現在のようにまとめられていないのでは?
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
個人で30年以上前の広告まで確かめようとは思いませんが、本当にそんな時期にこんな広告が出ていたのだろうか?
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
>「プラスチックが直接の死因になるという仮説は、どう考えても生態とそぐわない」
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
>日本ウミガメ協議会は、砂浜で年数百頭見つかる死骸を調べた。松沢慶将会長は「プラスチックを胃腸に詰まらせて命を落とした事例はゼロか、ごくまれだ」と断じる。
これは現場で漂着死体の解剖を精力的に(続く
続けている方々からもずっと言われてきたことです。最近、オサガメの体内に大きなゴミが入っていて、それが死因かもしれないね、というような論文を出版し、その内容についても朝日新聞などでもとりあげていただく機会がありましたが、(続く)
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
論文の中でも「これを死因と断定することはできないが、船舶にぶつかったような裂傷・外傷もなく、他の死因もあまり考えにくいよね」という程度の記述に留めており、この大きなゴミが死因であるという断定を避けています。
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
それくらい、誤飲ゴミが直接の死因であると断定することは難しいのです。だからといって「プラスチックのごみをよく食べるウミガメの方が、かえって生息数を増やした」という解釈にはなりません。
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
ウミガメがゴミを食べても世間で言われるようにそれが原因で簡単に死ぬわけではない、というだけのハナシであって、この記事の記述は誤解を招くというか、積極的に誤解に誘導しようとする極めて不誠実な記述であると思います。曲解に曲解を重ねればこのような解釈に到達することも不可能ではないかも
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
しれませんが、研究者がこのような主張をしたというのは完全に大間違いです。おそらくトランプがストロー云々言い出したとする時事ネタに合わせて研究者のコメントを都合よく使って記事化したかったのでしょうが、このような不誠実な取材と記事化はメディアと専門家の分断を進めるだけだと思います。
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
ACジャパンの広告は90年に実際にあったものだったと教えていただきました。
— かめふじ@ハイアイアイ臨海実験所 (@kamefuji) February 12, 2025
ウミガメで一括りにしがちですがやはり種ごとの生態に基づくべきでしょうね
— pseudo (@pseudo19547658) February 12, 2025
クラゲ食いに特化したオサガメは食道に大量に生やした長い棘をトコロテン器の刃のように使い、クラゲを反芻しながら細切れにして消化するので誤飲の影響は大きいけど、深海・外洋性のせいで死骸が人の目に触れにくいはずです
ウミガメが上陸する岩手県の海岸の下りは、海辺で話を聞いた記者が「この辺(の海)にもよく来る」を「この辺(の浜)に」と誤解したのかなと思いました。
— Soh BEAR (@Soh_BEAR) February 12, 2025
科学的な視点で考えれば、「プラを食べると死ぬ」の対義は「死ぬか分からない」であって、「死なない」でも「長生きする」でもないですね。
擬似相関
— Paramecium@X JAPAN推しSteamer (@pyxwy) February 12, 2025
この記事を読んで違和感感じまくりでした
— Katsuya Kamitani (@k_kamitani) February 12, 2025
プラスチックだろうと貪欲に食べる、そして異物が多少混じろうと生きていけるほど体力がある個体が生き残る…的な感じなのでしょうかね
— チャンドラー=ウィリアムスフィールド (@C_Williamsfield) February 12, 2025
仮に「プラスチックのごみをよく食べるウミガメの方が生息数を増やす」という事が事実であったとしても、それを断定できるようになるには10年20年程度で出せる結論ではないですよね?
— タカにゃん (@Takanyan53) February 12, 2025
記事執筆者は、気候変動解決に貢献するメディアを表彰するMedia is Hope AWARD ✨ 2024年下半期個人賞受賞の松添亮甫氏です。 https://t.co/AeTRJ5SbgN
— 大沼 琴乃 (@lagulagu30) February 12, 2025
素人考えなんだけど、これ「プラスチックを多少食べても平気でいられる種が生き延びて数を増やし、そうでない種が生息数を減らした」ってことなんじゃないすかね・・・?
— うおどむ (@walkingdome) February 12, 2025
日経も日経だけど、こんな結論を出した学者もかなり怪しいような。
実際のところはどうだか知らないし
— 山 (@nekoto_sakana) February 12, 2025
ビニール袋が直接原因ではないとしても
相関性は考えられるのでは?
例えば本命の餌以外にビニールにでも何にでも食いつく
悪い言い方をすれば「食い意地の張ってる」個体の方が生き延びやすい、とか