【今回の原因が、小林製薬の工場が原因でも、紅麹菌が原因でもない可能性の話】
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 2, 2024
色々な報道で、小林製薬の工場の管理体制や紅麹菌の性質に焦点が当たっているけど、敢えてここは別の可能性を考えたい。
あくまで推測であり、変な風評になってはいけないことを前提に。 1/n
さて、その可能性は、「原料に使う穀物が、小林製薬に納品された時点で、そもそも汚染されていた」というもの。
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 2, 2024
結構報道で触れられていないのだけど、紅麹菌を増やすには増やすための培地と呼ばれる栄養源が必要。
麹の場合は通常はコメや麦などの穀物を使う。 2/n
さて、通常、味噌醤油清酒など食品に使う麹の原料は一定のレベルが求められる。
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 2, 2024
しかし、サプリ原料、色素抽出のために使う麹であれば、官能面は求められないため、培地になる穀物のグレードもそこまで求められない。
海外産の穀物原料や、数年前に収穫されたものを使うケースもありうる。 3/n
その原料の長期保管や輸入などの過程で、サイロやコンテナ等が青カビで汚染されていた。
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 2, 2024
そして、「プベルル酸」が多量に代謝された状態で、業者が青カビの生えた部分だけを廃棄して、残った部分を小林製薬に納品したという可能性を考える。
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原因と目されているプベルル酸は聞くところによると316℃の高温にならないと熱分解しない。
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 2, 2024
なので、製造工程で通常の温度で原料を蒸してるだけじゃ分解しきれない。
よって、一旦プベルル酸に汚染された原料が納品されたら、最終製品まで残留する可能性は高い。 5/n
これだけ広範に被害がわたるとしたら、プベルル酸が相当量産出されてないとおかしい。
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 2, 2024
でも、「プベルル酸」みたいな代謝物が、そこまで増えるほど紅麹に青カビが生えるとしたら、紅麹の製造や納品、加工の過程で、よほど目視でわかるんじゃないか。 6/n
もちろん、工場の衛生体制のチェックは行うべきだけど、これほど被害が拡大するほどに代謝物が蓄積するレベルでカビが生えたままほおって置かれるとしたら、
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 2, 2024
製造工程だけでなく、「原料等を大量に保管する場所」も視野に入れた方がいいのではないか。(入れてると思うけど)
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つまり、長期にわたり大量に原料穀物が保管される場所が、事故の発生現場。
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 2, 2024
小林製薬の工場の原料倉庫、製品倉庫はもちろん、仮に小林製薬が使用していたのが輸入原料であれば、流通過程の「船」や「港」も視野に入る。(既に調査入れてると思うけど)
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そして、繰り返し”仮にとして”だが、原料由来だとすると『機能性食品の表示のあり方・安全管理』『菌の培養工程管理』みたいな論点は吹っ飛ぶ(もちろん、一般論としての重要論点ではあるけど)
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 2, 2024
だって、今回の原因はそこにないじゃん。
厚労省や消費者庁というより農水省マターに近くなる 9/n
紅麹菌!発酵!培養!微生物!機能性!みたいな、いわばタグの特殊性が強いので、そこに焦点が当たった議論になりがち。
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 2, 2024
特殊性を無視するわけじゃないけど、引っ張られすぎず、食品として『原料調達』『製造工程』『出荷流通』という一連の流れを押さえるということが必要なんじゃないかな。 10/n
【追記1/n】この物質については専門外なのだけど、一般的な視点として、『検査不備』をいうのであれば
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 3, 2024
・想定しない未知の物質を検出出来る検査方法があるのか
・その検査方法は毎ロット実施できる経済合理性のあるものか
という論点はある。
【追記2/n】
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 3, 2024
「想定してないまだ見ぬ知らぬ物質まで含めて、どんな有害物質も”ない”ことを検査で保証せよ、検査なら見つかるはず、みつけられなければ不備」というのは、ある種の悪魔の証明に近い。
もちろん、それでも、作り手としての結果責任の論点はあるけどね。
【追記3/n】
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 3, 2024
人類にとって致命的な物質が発見され、その度に、その物質を検出できる方法が開発され、コストの課題も克服して広く普及し、を繰り返してきた。
我々はまだ進歩の途中。未知、未発見のことだらけの中に生きている。
今回も、そもそもプベルル酸とさえ決まったわけじゃない。
謙虚に。
【追記の追記】
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) April 4, 2024
東京農業大学の小西先生が、原料からの可能性についても指摘いただいています。
正直、僕の連ツイートよりも、はるかに分かりやすい、、さすが先生です。
ここまで連ツイ読ませて申し訳ないですが、記事を読んでください。(全体の2P目からリンク)https://t.co/MW0DPyXx7x
厚労省の資料だと、製品と原料の両方からプベルル酸が検出されているので、
— さしみぃ (@shinamonpenguin) April 3, 2024
村井さんがおっしゃってる原因の可能性が高そうですね
仮に仰る通りだとしたら、相当な割合で青かびが
— gongon (@gongon43444) April 3, 2024
混入していないとダメな筈で、その場合は目視か
匂い等の官能検査で分かると思うが。。
あれだけの企業の品質管理部だったら当然ながら
原料受け入れの段階で官能検査や微生物検査等を
実施している筈なので、ちょっと考え難いが。。
小林製薬は食品用とサプリ用の紅麹粉末を作っていて、食品用の方は問題が起きていない。食品用はアメリカ産の米を使っているようですが、食品用とサプリ用は原料を変えていたのだと思います。そして、サプリ用に使った米の一部が事故米(汚染米)だったパターンだと私も思います。 pic.twitter.com/HbR01uAp5W
— 匿名希望マン・山本(元・山本三郎?仮名?) (@Yamamotodays710) April 4, 2024
興味深い考察ですね
— 湯川藍花@法政通信(地理) (@cy81yukawa) April 3, 2024
確かに穀物貯蔵の段階で問題があれば培養以降の段階でコンタミの原因が見つからないのも納得できます
香辛料などの細菌汚染も問題になることがあると聞くので、有り得なくはないかと
いずれにしても詳細は公式見解を待つ他ないですね