“万博の華”といわれる海外パビリオン。ところが、開幕後も会場内のネパールのパビリオンは、建設会社への支払いが滞ったため、工事が完全に止まってしまい、再開のめどは立っていない。このままだと開催期間中のオープンすら危ぶまれる中、いったい、何があったのか―。関係者への取材で、ネパール側との交渉の裏側が明らかになった。
(取材・報告=中野颯大・楠下一輝・平田博一)<中略>
■“着工金”支払われ工事開始 「いつか払われる」業者が“持ち出し”
問題の発端となっているのが、金をめぐる問題だ。
関係者によると、ネパール政府と工事業者の間では、工事が始まる前に払われる「着工金」が予定通り支払われ、去年8月に工事がスタートした。請け負った業者だけでなく、工事には下請け・孫請けなど様々な業者が携わり、外観工事は約9割まで完了していた。
ところが、着工金を支払って以降、ネパール政府側から工事業者に対して支払いが滞るようになる。完成までのスケジュールもあり、業者側は「いつか払われるだろう」と思って工事を続けていたが、一向に支払われないまま。
業者は“持ち出し”で工事を続けていたが、金銭面のやりくりが厳しくなり、一部の下請け・孫請け業者への支払いまでもできない状態に陥った。ついに、開幕まで3か月間となった今年1月、工事をストップせざるを得なくなったという。
この間、関係者はただ指を加えて見ていたという訳ではなく、水面下では様々な交渉が行われた。ネパール政府と工事業者、万博協会、さらには日本政府を交えた4者が、支払いの催促を何度も行ったが、ネパール側はその度に「期日までに払う」と繰り返し、その言葉を信じてしまったという。
「(開幕までに)間に合う予定で工事をやっていた。やはり完成させたかったし、その思いだけでやってきた」と関係者は打ち明ける。
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