ドイツでは消費者の需要を上回る太陽光発電パネルが設置されていることがSEBリサーチの調査でわかった。
太陽光発電のピーク時には、生産者は過去10日間で87%の価格引き下げを行っている。
実際、市場のエネルギー価格はこの時間帯にマイナスに落ち込んでいる。
再生可能エネルギーへの取り組みの結果、エネルギーが過剰になってしまい、ドイツでは晴天が続いても、太陽光発電の収益性には暗雲が立ち込めている。
スウェーデンの金融サービスグループ、SEBリサーチ(SEB Research)のメモによると、過去10日間で、太陽光発電事業者は生産時間中に87%の価格引き下げを余儀なくされたという。実際、生産がピークに達すると、価格はゼロを大きく下回っている。
平均すると価格は1MWh(メガワット時)あたり9.1ユーロ(約1547円)で、太陽光発電時間帯以外の70.6ユーロ(約1万2000円)を大幅に下回った。
「これは、規制されない電力の量が需要と同等かそれ以上になると、こうしたことが電力価格に起こる。つまり、規制されない電力生産量が最大になると価格は暴落する」とSEBリサーチは5月21日に書いている。
ドイツにおける2023年の記録的な太陽光発電導入の波は、電力の在庫が消費を上回ってしまうという価格「破壊」の原因となっている。
「2023年末までに太陽光発電の総発電容量は81.7ギガワット(GW)に達したが、需要量は52.2GWにしかならなかった」とSEBリサーチの商品アナリスト主任のビャルネ・シールドロップ( Bjarne Schieldrop)は指摘する。
電力の生産がピークに達し、需要が減少する夏には両者の差はさらに拡大する。
また、消費者は通常、太陽光発電のない時間帯により多くのエネルギーを消費するため、必ずしも低価格の恩恵を受けているわけではない。
補助金や電力購入契約によって新規導入が促進されない限り、採算性は圧迫されるため、ドイツの太陽光発電の拡大はいずれ止まってしまう可能性があるとシールドロップは述べている。
代わりに、バッテリーや送電網のインフラへの投資など、生産されたこの電力のエネルギーをより活用するための改善に焦点が移る可能性が高い。
「このような状況は時間の経過とともに『無料で使える電力』を使い果たし、太陽光発電の電力価格を再び上昇させるだろう」とシールドロップは記している。
「そして太陽光発電容量の新たな増加につながる」
需給の不均衡は、ドイツにとって新しい問題ではなく、ドイツだけが経験しているわけでもない。ロシアがヨーロッパ大陸へのエネルギー供給を停止したため、ヨーロッパ市場は2023年まで太陽光発電設備の設置が急務となっていた。
ヨーロッパのグリーンエネルギーの供給過剰では、(発電用の)風力タービンと原子力発電がさらに拡大したことによって、過去にも価格下落を引き起こしたことがある。
実際には消費者は市場価格で支払っているわけではないため、これは消費者が電気を使っても払い戻しがあるという意味ではない。その代わり、通常、料金は事前に合意される。
https://www.businessinsider.jp/post-287643
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