米国防総省高官は2日、ウクライナ東部ドンバス地域で攻勢に出たロシア軍の動向について、前進と後退を繰り返し、目立った進展がみられないとの分析を示した。
補給難が解決していないうえに、地上、空中いずれの戦闘でも犠牲回避の傾向があり、兵士らは「非常に用心深く、熱意にかけ、活動にむらがある」と指摘した。
高官は、露軍の戦いぶりを表現する「最良の言葉は『無気力』だ」とも語った。
首都キーウ(キエフ)制圧に失敗した露軍はドンバス地域を主戦場と位置づけ距離的に近いロシア西部の軍事拠点から装備や兵士の補充を続け、東部マリウポリの攻撃部隊も同地域へ北上させているが、緒戦の敗退で発覚した士気と補給両面の課題が「第2段階」でも続いているようだ。
高官は東部戦線の戦況について、ドンバス地域を構成するドネツク州北部のポパズナの戦闘で露軍に小規模の戦果があったとしたが、「進入して勝利を宣言すると部隊を引き揚げ、ウクライナ軍の奪還を許す」という他の村落でみられた状況があるとも指摘した。
高官はまた、東部の主要都市ハリコフで続く包囲戦について、過去1、2日間にウクライナ軍の反撃で露軍が同市東方約40キロのドンバス地域北部の近くまで後退したと明らかにした。
露軍にとりハリコフ制圧は、ドンバス地域のウクライナ軍を背後から攻めるための重要目標。高官は「大きな注目を集めていないが、ウクライナ側が示し続けるもうひとつのレジリエンス(強靭さ)だ」との見解を語った。
高官によると、2日までにウクライナ軍の砲兵220人以上が、米軍による155ミリ榴弾(りゅうだん)砲の訓練を完了した。米国が供与する同榴弾砲計90基の8割はウクライナ国内に届けられており、ドンバス地域の地上戦を支える。
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