ロシア軍に包囲されたウクライナ南東部の都市マリウポリでは住宅地への砲撃や市街戦が続き、市民は深刻な人道危機にさらされている。3月17日に街を脱出したアナスタシア・フレチキナさん(22)が中部クリビーリフの避難先からオンライン取材に応じた。「ただ、死ぬ時を待っていました」。電気も通信も途絶え、飢餓が迫る絶望の3週間を振り返った。
「状況は一気に悪くなりました」。淡々とした口調でアナスタシアさんは振り返った。マリウポリの街の中心部から離れた地区にある集合住宅に母やおば、いとこら6人で住んでいた。ロシアの侵攻が始まった2月24日、スーパーマーケットでとりあえず20キロのジャガイモや缶詰の魚を買い込んだ。それが最後の買い物となった。その後は「単純に店がなくなった。砲撃で破壊されるか、焼けるか、略奪されました」。家族はジャガイモを小分けにし、食事を1日2回にして少しずつ食べることにした。
マリウポリは3月上旬にロシア軍に包囲され、市民が空爆にさらされるようになった。その頃にはアナスタシアさんの家でも電気が途絶え、水が出なくなった。インターネットが使えなくなり、3月6日ごろにガスが止まった。
近所にも砲撃が及び始めた。家にはシェルターがなく、一家は窓のない廊下に固まって寝るようにした。「その方が少しでも安全な気がしたから」。空爆があればひとたまりもないが、どこが標的にされるのかわからず「ゲームのようなもの」だった。夜、底冷えする暗い廊下で身を寄せ合うと、食べたいものの話をした。「誰かが来てここから連れ出してくれないかなと夢みていました」。疲れが極限に達した時だけ、浅い眠りがやってきた…
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