ナイキの「選別」で始まった靴小売りの地殻変動
小売り各社を揺さぶる大手ブランドの直販強化
東京駅八重洲口の地下に広がる八重洲地下街。国内靴小売り首位のエービーシー・マートと、2位で「東京靴流通センター」などを展開するチヨダの店舗が隣り合わせで並ぶ一角がある。
ビジネスカジュアルの普及、コロナ禍における健康志向の高まりもあり、ここ最近の売れ筋はもっぱらスニーカーだ。国内有数のビジネス街である八重洲も例外ではなく、スニーカーの品ぞろえに強みを持つエービーシー・マートはもちろん、もともと紳士・婦人靴が主力のチヨダも、店頭ではカジュアルシューズの取り扱いに力を注ぐ。
ただ、双方の店舗に陳列されたスニーカーを見ると、品ぞろえの違いが目に留まる。エービーシー・マートでは1区画を丸ごと使って展開するナイキの商品が、チヨダでは「取り扱いがない」(店員)という。代わりにチヨダでは、ウォーキングに特化したスケッチャーズの商品や、「立ったままスパッと履ける」とうたった自社オリジナルのスニーカーが目立つ場所に並べられている。
チヨダでも以前は多くの店舗でナイキの商品をそれなりに取り扱っていた。が、「数年前から、仕入れられる商品が段階的に絞られてきた」(チヨダ広報担当者)。業界首位と二番手の店で今、ここまで品ぞろえに差が出ているのはなぜなのか。<中略>
こうした傾向は日本も同様だ。例えば、アディダスのスニーカー。複数の小売り関係者によれば、その代表とも言える「スタンスミス」や「スーパースター」を卸す店、価格帯がやや低い「アディダス ネオ」を卸す店、といった区分けがアディダス側でなされているようだ。
品ぞろえの豊富さで戦ってきた靴小売り大手は、そのあおりをもろに受けている。チヨダの広報担当者は「現在はナイキ商品の取り扱いがほとんどない状況」と話す。「アスビー」などを展開する業界3位のジーフットも、ブランド愛用者が求めるような希少品番などの仕入れは乏しく、「大手メーカーから入荷する商品は(比較的安価な)流通用に企画されたものが多い」(経営企画本部)という。
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https://toyokeizai.net/articles/-/601753
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