1月14、15日に、2023年度大学入学共通テストが実施されました。「センター試験」から「共通テスト」に変わって、今年では3回目の入試です。
さて、「共通テスト」は、従来実施されていたセンター試験とはかなり違うものになっています。センター試験が「知識があれば解ける問題」だったのに対して、共通テストは知識を重視するのではなく「思考力・判断力・表現力」を重視した問題を出題することが予告されていました。
そして今年、その傾向はかなり色濃く反映されました。例えば、今までのテストでは知識さえあれば解ける問題ばかりだった「世界史B」という科目の問題が、今年になって一変したのです。問題数はあまり変わっていないのに、問題のページが非常に多くなり、読まなければならない箇所が格段に多くなりました。
■SNS上では受験生が嘆く声も
SNSで「共通テスト 世界史」と検索すると、多くの受験生が「国語みたいに文章量が多かった」「資料の読み取りばかりで、知識が通用しないものが多かった」と嘆いているところを見ることができます。
共通テストはどのような問題が増えたのでしょうか。数年前までは受験生だった現役東大生たちと一緒に、実際に共通テストの問題を解いた結果から見えてきた、「これからの共通テストの方向性」についてお話ししようと思います。
まず解いていて驚いたのは、どの科目も国語の問題のように、問題文が長いことです。見開きで文章を読み切ったうえで、問題がたったの1問載っている、というものも多く存在していました。
しかもそのすべてを読解しないと答えが出てこないような問題ばかりなのです。センター試験であれば、与えられた問題文が長かったとしても、それを読まずに答えが出てくるものばかりでした。しかし、共通テストの問題は与えられた文章を読み、問題によっては前の問題の問題文を確認しながら読まなければ答えが出ないものばかりなのです。
■東大生の感想は「センター試験よりも時間がかかる」
センター試験を解いて東大に合格した世代の東大生にも解いてもらったの ですが、みんなが口をそろえて「センター試験よりも、解くのに時間がかかる」「かなり体力を使う」と言っていました。
僕も、センター試験の過去問を解いているときに理科や社会の問題で時間が足りなくなった経験は一度もありませんでした。しかしこの共通テストの問題は、速く読まないといけないので時間が足りなくなる受験生も多いだろうと感じたのです。
しかもそれが、理科や社会だけでなく、英語や数学でも同じなのですから驚きです。
英語リーディングの問題は、試験全体の総語数は約6000語。センター試験のときの総語数が4000語程度であったことを考えると目を見張るほど多く、また今年は去年よりも総語数が増えているので、来年もこの語数は増え続けていくと考えられます。
問題の答えの根拠も、長文のいろんなところに散っていて、「最初と最後を読んで大体の英文の方向性を理解する」などのテクニックもあまり使えません。
数学もそうです。数学の問題とは思えないくらい問題のページ数が多く、与えられた条件を読解して理解するだけで時間がかかってしまうようなものばかりでした。理系だろうが文系だろうが関係なく、きちんと文章を読んで判断する読解の力が求められる問題が非常に多いのです。
しかし、そのように難しくなっている印象のある共通テストを、東大生たちは「うーん、解きづらいな」と言いながらも、きちんといい点数を取っていました。センター試験と同じくらい点数を取れる人もいれば、「4年ぶりに解いたけど、本番の点数よりもよかった!」と語る東大生もいるくらいでした。
これはもちろん東大生の頭のよさが発揮されたということでもあるのでしょうが、しかし「共通テストを対策する能力を東大生たちが持っている」ということの証拠でもあります。東大生たちはなぜ、共通テストでも点数が取れるのでしょうか。
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https://toyokeizai.net/articles/-/646457
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