中国の電気自動車(EV)各社が、長く日本車の独壇場だった東南アジアに一斉に進出している。日系勢のEVの品ぞろえが弱い中、タイでは目新しさのほか強引な販売戦略を鮮明にし、シェア切り崩しを目指す。ただ過当競争に陥っているとの見方もあり、今後は優勝劣敗が進みそうだ。
▽居抜き
「タイでのEVのシェアは40%。顧客の皆さんのおかげで、われわれは世界最大のEVメーカーとなった」。3月下旬、バンコク郊外で開かれた東南アジア最大級の自動車展示会で、中国EV最大手、比亜迪(BYD)のアジア販売責任者の劉学亮氏が複数の主力車を10万バーツ(約41万円)以上値下げすると発表すると、会場からどよめきが上がった。
BYDはタイ参入1年で、2023年の販売シェアが3・9%と中下位の日産自動車、マツダ、スズキを抜いた。業界関係者は「BYDと同じ黒が基調の販売店デザインの三菱自動車、日産、マツダの店舗を集中的に狙い、居抜きでくら替えさせた」と苦笑、他社の販売減の一因となったと指摘した。広告も大量投下し、攻勢を強める。
▽過剰
ここ数年で、タイに進出した中国系は約10社を数える。生産面でも今年以降、少なくとも5社がタイ国内で工場を稼働する。これらの年間生産台数の合計は32万台超に上る見通しで、タイ市場の販売規模(23年は約77万6000台)に比べ過剰だ。
中国本土では強烈な値下げ合戦で、破綻する新興EVも珍しくない。タイではEVの中古車市場や充電インフラが未発達で、中国勢の台頭が地殻変動か、一時的なものか議論がある。 (共同)
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