1:名無しさん


 学生たちが守ろうとし、大学に求めてきたのは「自治と対話」だ。その価値を明確に認め、大学側の姿勢を厳しく戒めた司法の判断である。京都大学は控訴せず、学生との話し合いを再開するべきだ。

 京大「吉田寮」旧棟に住む在寮生らに対し、大学が建物の明け渡しを求めた裁判で、京都地裁は大学側の主張をほぼ退け、在寮生14人の居住を認める判決を言い渡した。

 大正時代に建てられた旧棟は築110年を超え、現に使われている学生寮では国内最古とされる。京大は2017年、老朽化で耐震性に問題があるとして、安全の確保を理由に退去を通告した。代わりの宿舎を用意するとしたが一部の寮生は従わず、京大は2年後に提訴に踏み切った。<中略>

 学生寮を閉じる動きは各地で相次ぐ。東大の駒場寮をはじめ、東北大や金沢大でも寮生らの反対を押し切って廃寮になった。04年の国立大学の法人化以降、国の交付金が削られ、運営の効率化を迫られていることが背景にあるとの指摘もある。

 自主自律を重んじ、個性豊かな人材を送り出す。それこそが大学に期待される役割である。管理を強め、強権を振りかざすのでは、自治を守るべき学府の自己否定につながりかねないと知るべきだ。

https://www.asahi.com/articles/DA3S15866498.html