広島県熊野町の平谷地区で井戸枯れが相次いだ問題は、地下送水トンネルの新設工事が影響している可能性が高いことが分かった。2021年7月ごろからトンネル掘削時の湧水量が増え、同年10月以降に井戸の異変を訴える苦情が続出した。〈中略〉
広島県企業局水道課の担当者は「平谷地区周辺では、送水トンネルの新設以外に大規模な工事は実施していない。トンネル工事による湧水の発生で井戸の水が枯れた可能性が高い」と話す。
一般的に、トンネルの掘削距離が長くなるほど集水範囲が拡大し、湧水量が増える。海田~矢野工区では、21年6月時点で1時間当たり60tほどだった湧水量が、翌7月には約100tと急増した。このときの掘削距離は約3.5kmで、平谷地区までの距離は約1.1kmだった。現在も同程度の湧水量で推移している。
県によると、1時間当たり100tほどの湧水は想定内で、排水能力を上回らない。そのため、薬液注入などで止水せずに工事を進めている。ただ、平谷地区の周辺で湧水量が急増するとは想定していなかった。掘削前にボーリング調査などを実施していたものの、延長が長い工事で地中の状況を正確に把握するのは難しいという。
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