無人島から国防の要塞へ…自衛隊基地着工から1年、馬毛島には「街」が現れた
米軍機訓練移転を伴う鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備は12日、基地本体の着工から1年となった。上空で8日に見た島の風景は工事前から一変していた。木々の伐採や造成が進み、作業用とみられる未舗装道が全域に張り巡らされ、至る所で重機が稼働。海沿いは大型船が着岸する仮設桟橋が岸壁から沖へ延び、内陸部にまで建物が立ち並んでいた。国策に翻弄され続けてきた無人島は要塞(ようさい)へと変貌しつつあるようだ。
上空から見た馬毛島は伐採や造成で緑が減り、むき出しとなった黄土色の大地が広がっていた。自衛隊基地本体の着工から12日で1年。 荒野の中に建物や燃料施設も増え、基地のための「街」が出現したように見える。
小型機で南大隅町に差し掛かると、南に島影が現れた。10分足らずで上空へ黄や赤、緑の重機やトラックが土煙を上げていた。周囲16.5キロの無人島。半年前、伐採で虎刈りのようだった樹林帯は丸裸に。戦時中に使われたとされるトーチカ(防御陣地)があった岳之腰(標高71メートル)周辺の緑も消えていた。
島中央部は10棟以上が密集し、宿舎の発電機や重機に使う燃料のタンク、コンクリートプラントも見えた。東西南北を貫いていた十字の「滑走路」は周囲の開発に埋もれた。 島の大半を所有した会社が造成した痕跡はなくなりつつある。
防衛省の計画では北北西-南南東の主滑走路(2450m)と横風用滑走路(1830m)が「く」の字に交わる。滑走路地区の工事は9月にも完了する見込みというが、上空からその姿はまだ確認できなかった。(続く)