2021年12月、韓国の貿易収支は赤字に転落した。同国の貿易赤字は2020年4月以来の20ヵ月ぶりだ。12月の輸出は、前年同月比18.3%増加の607億4000万ドルと過去最高を記録した一方、輸入は同37.4%増の613億2000万ドルと輸出額を上回った。貿易収支で稼ぐ韓国の経済構造を考えると、貿易赤字は相応の痛手になりそうだ。貿易赤字の一つの背景として、コロナワクチン輸入の増加という特殊事情があったものの、重要なポイントは、貿易赤字が一時的なものであるか否かだ。
12月の貿易赤字を一時的な現象と断じるのはやや早計かもしれない。韓国の貿易に関する交易条件(輸出物価指数/輸入物価指数×100)の悪化傾向が見えるからだ。つまり、韓国の輸出製品の競争力に陰りの兆候が見られるということだ。韓国銀行が公表する金融収支の推移を確認すると、昨年6月から10月までの証券投資はマイナスに転落した。その背景の一つに、輸出製品の競争力低下によって経済成長率の減速を懸念する投資家の増えていることも想定される。また、足許では感染再拡大によって主要国経済の減速懸念が高まっている。輸出主導で成長を実現してきた韓国経済の先行きに不安が高まる可能性もある。
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