11月17日から11月19日までの全国映画動員ランキングが発表され、今週も山崎貴監督が手掛けた『ゴジラ-1.0』(公開中)が首位をキープ。社会現象を巻き起こした国産実写「ゴジラ」映画の前作『シン・ゴジラ』(16)でも達成できなかった“3週連続No. 1”の座を見事に勝ち取った。
『シン・ゴジラ』が成し得なかったV3を堂々達成!
『ゴジラ-1.0』の3週目の週末3日間成績は観客動員数26万7600人、興行収入4億2100万円と、どちらも前週比75%の高水準。累計成績では動員184万人、興収28億5000万円を突破しており、山崎監督が影響を受けたことを公言している『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(01)の興収27億1000万円を上回り、ミレニアムシリーズ6作すべての興収を上回ることに成功した。
前週、前々週の当記事でもお伝えした通り、12月1日(金)から北米での公開が控えている『ゴジラ-1.0』。批評を集積、集計する人気サイト「ロッテン・トマト」には、徐々に現地の批評家からのレビューが投稿されはじめている状況で、現時点ではまだ7レビューしかないが、高評価の割合は100%。概ね大好評で迎えられているため、今後もレビューは増加していくことだろう。
その一部を簡単に抜粋して紹介してみると、Screen Internationalのティム・グリアーソンは「ゴジラを日本の戦後不安と悲しみの比喩というルーツに引き戻し、感動的なスペクタクルに仕立てている」と評価し、興収面でも批評面でも「モンスター・ヴァース」に匹敵する可能性があると予測。またIGN Moviesのケイティ・リフは「『ゴジラvsコング』よりも少ない予算ながらリッチな画面」と驚きを隠しきれない様子で語っており、ここに海外、特にアメリカでのゴジラ人気の理由があるようにも感じる。
そもそも「ゴジラ」映画のアメリカ初上陸は、初代『ゴジラ』(54)と言いたいところではあるが、厳密にはそれをアメリカの観客向けにアレンジした『怪獣王ゴジラ』(56)からだった。日本人が主人公ではヒットしないからという理由で作られたこの再編集版はヒットを飛ばし、ほかの国々にも伝播。アメリカで最初に商業的な成功を収めた日本の長編映画と言われつつも、本来のかたちで公開されたのは50年後の2004年になってからのことで、初代以降も複数の作品が同様に“国外版”としてアレンジされてきた歴史がある。
1950年代といえばヨーロッパの映画祭で日本映画が芸術的に評価された時代であり、そうしたなかでエンタメ大国であるハリウッドにおいて、アメリカナイズされたとはいえ日本のアイデアが詰まった特撮技術が駆使されたエンタメ映画が好評を得るのは相当のインパクトがあったことだろう。あえてアレンジをしたりハリウッド版が作られていったのは、畏怖の念、あるいはライバル視されてのものだったのかもしれない。いずれにせよ、ハリウッドの“王者”としての位置を脅かす存在として、怪獣映画のみならずエンタメ界全体の進化を促す一要素となったことはまちがいないだろう。
ちなみに北米公開にあたっては、『シン・ゴジラ』と興収面で比較することは不可能である。なぜならば同作はFunimation配給の限定上映であり、週末を除けば数十館という小規模のイベント上映の様相が強い興行であったから。対して『ゴジラ-1.0』は1000〜1500館規模の(それでもアメリカ基準では中規模といったところか)通常上映であり、ましてや必要以上のアレンジをされることなく届けられる。すなわちこれが、国産「ゴジラ」映画がハリウッドのエンタメと本格的に同じ土俵で戦う記念すべき瞬間となる。これは期待せずにいられない。
https://moviewalker.jp/news/article/1168204/
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