埼玉県議会で、自民党県議団が提出していた虐待禁止条例改正案は、県民の「生活実態とかけ離れている」「まるで、お留守番禁止条例だ」などと痛烈な批判を受けて「撤回」に追い込まれた。選挙中の衆参2補選(参院徳島・高知選挙区、衆院長崎4区)にも影響しかねないとの指摘が出ている。こうしたなか、改正案に反対していた県議がユーチューブで今回の経緯を実名告発した。ジャーナリストの宮田修一氏が緊急リポートする。
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「数のおごりだ。国政レベルでも自民党のイメージを下げた」
諸井真英県議は16日夜、ユーチューブでこう訴えた。県議17年目の諸井氏は当初から改正案に反対し、推進した県議団の田村琢実団長ににらまれていたという。
田村団長は改正案撤回の記者会見をした後も、ネットテレビなどで「説明不足であって内容に瑕疵(かし)はない」と強弁するなど、改正案に反発した子育て世代やシングルマザーの神経を逆なでしている。
自民県議団は、定数93人の埼玉県議会のうち58人を占めている。諸井氏は、どんな条例案でも県議団がOKすれば数の上では通るという。
今回の改正案については約1年前、県議団でPT(プロジェクトチーム)が立ち上げられた。諸井氏など、ごく一部を除いて大半が加わった。団会議でPTがまとめた改正案の提案を決める際、諸井氏は県民の生活実態に合わず、通報義務を課すような内容から、「到底、県民に受け入れられるものではない」と判断して反対意見を述べた。
関係者によると、県議会に改正案が提出されて、メディアが批判的なニュースを流し始めると、県議団内で「内部情報を漏らしてメディアを煽っている」として、諸井氏の除名が検討された。ただ、世論を刺激して逆効果になるとの判断で見送ったという。
諸井氏は取材に対し、次のように語った。
「自民党県議の多くは、地元後援会などから辛辣(しんらつ)な批判を受けている。田村団長と歩調を合わせてきた県議も『実は、私は反対した』と言い始めた。県民にどれだけ迷惑をかけたかという反省がない。少なくとも、田村団長は責任を取るべきだ」
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