兵庫県議会の最大会派・自民党(30人)に所属する男性県議が、脳梗塞に伴うリハビリで1年近く本会議や常任委員会を欠席している。男性は議員を続ける意向だが、本格復帰は見通せず、年間約1400万円の議員報酬が満額支給されている。長期欠席した場合の規定はなく、県議の一部は「県民の理解が得られない」と批判。専門家も「報酬減額などのルールは絶対に必要」と指摘している。
神戸市中央区選出の原吉三県議(80)=8期目。昨年9月の定例会以降、本会議に出たのは正副議長を選んだ今年6月9日のみで、他は全て欠席している。正副議長選にはストレッチャーに体を横たえた状態で臨み、議会事務局職員が意向を確認して代理投票した。
地方議員の任期は地方自治法で4年と定められているが、長期欠席した場合のルールはない。同事務局によると、過去にも病気を理由に9カ月間休んだ県議はいたが、ほぼ1年に及ぶ長期欠席は例がないという。
県議の報酬は月額84万円で、夏と冬の期末手当(ボーナス)を合わせると、年間約1400万円になる。在職する限り、この報酬も全て支給される。
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関係者によると、原県議は現在、施設に入所しており、新型コロナウイルス感染予防のため、月に1度の通院時を除いて外出を制限されているという。今月12日にあった各会派の代表者会議では、自民の伊藤傑幹事長が「何とか回復し、議員の仕事をしたいという気持ちで闘病している」と家族からの報告を説明した。
一方、報酬支給の是非を巡っては会派によって温度差があり、「支給し続けるのは県民感情に反する」との意見もあれば、「病気療養なら支給停止は難しい」との主張も=表参照。報酬減額などのルールづくりは、来春の統一地方選後に検討する方向だが、時間を要するとの見方が強い。
伊藤幹事長によると、原県議は開会中の9月定例会に「1日でも出席したい」と話しているという。委員会にオンライン参加を希望するが、県議会の規定では重大な感染症のまん延や大規模災害で集まるのが困難な場合にのみ可能で、病気は「療養に専念する必要がある」として認めていない。
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