昨年5月、高齢ドライバーによる事故防止を目的に、安全運転サポート車(サポカー)に限定した運転免許証が導入された。しかし警察庁によると、切り替えの申請をした人は導入後7か月でわずか12人。制度が認知されていないことに加え、「そもそもメリットが乏しい」との指摘がある。
購入補助なし
サポカー限定免許は、普通免許の保有者が希望すれば切り替えられる。アクセルとブレーキの踏み間違いによる急加速抑制装置、高性能の自動ブレーキ装置の搭載車が対象で、警察庁が140以上の車種をウェブサイトで公開している。
限定免許が導入されたのは、免許の自主返納を促すだけでは限界があるためだ。東京・池袋で2019年、乗用車が暴走して2人が死亡した事故を機に返納者が増加したが、この年の約60万件をピークに翌年からは減少に転じている。
「地方では車がないと生活が成り立たない」という切実な声もあり、安全な車に限定することで「運転に不安はあるが免許返納には踏み切れない高齢者にとって、中間の選択肢になる」と期待されていた。
だが警察庁によると、昨年11月末までの申請は、都道府県別で愛知2人、群馬、神奈川、長野、福井、岐阜、三重、兵庫、奈良、福岡、鹿児島の各県でそれぞれ1人。東京、大阪など他の都道府県ではゼロだった。
普及が進まない理由の一つが経済的な負担だ。
対象のサポカーは過去数年の間に生産された型で、それ以外の車を所持している人が免許を切り替える場合、新車購入が必要になる。
多くの自治体では、自主返納した人に対して電車やバスの運賃や商品が割引されるなどの制度がある。一方、限定免許の人に車購入費の補助などの特典を設けるケースはほとんどない。
また、すでにサポカーを所持していたり、新たに購入したりした人も、普通免許のままで乗ることはできる。限定免許に切り替えた場合、それ以外の車に乗れば違反になる。
このため複数の警察本部の担当者は「サポカーは事故防止に有効だが、免許は切り替える利点があまりない。高齢者に積極的に勧めにくい」と漏らす。
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