コロナ禍の水際対策の緩和で戻りつつある訪日外国人客の熱中症対策が急務となっている。3年前の日本気象協会の調査では、6割近くが症状を経験したと答えた。例年にも増して過酷な猛暑の今夏。全国の観光案内所では英文のチラシで注意を促し、ツアーガイドは冷却シートや塩あめを携帯して日陰の多いコースを選ぶなど、おもてなしに知恵を絞る。(池田寛樹)
「まさか、東京がここまで暑いとは思っていなかった」。7月25日、初めて日本を訪れたドイツ人のミハエル・プリモさん(59)、イボンヌさん(56)夫妻が東京・浅草を観光していた。ミハエルさんは「暮らしているベルリンと比べて蒸し暑く、熱中症になりやすいと感じる」と汗を拭った。
この日の東京都心は、最高気温36・6度、平均湿度65%で、熱中症の危険度を示す暑さ指数は「危険(運動は原則中止)」を意味する31以上に達した。
■助け呼べず
日本気象協会が2020年4月、コロナ禍前の17~19年の夏場に日本を訪れた外国人200人にアンケートしたところ、57%が「熱中症の症状を経験したことがある」と回答。症状別では「めまいや顔のほてり」(27・5%)が最も多く、「体のだるさや吐き気」(26・5%)が続いた。シーン別では「屋外で歩いていた時」(36・8%)が最多で、「混雑した電車やバスの中」も2割近くいた。
東京消防庁によると、13~19年の都内の熱中症搬送者のうち訪日客は3~10人で、搬送者1000人につき1~3人程度にとどまる。日本気象協会は「具合が悪くなる外国人は多いはずで、助けを求められずに搬送に至らない人への対応が必要だ」と指摘する。
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https://www.yomiuri.co.jp/national/20230802-OYT1T50163/
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