米国のバイデン政権が、23日に開かれる日米首脳会談に合わせ、新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の設立を表明することがわかった。米国が主導し、日本や豪州、インド、韓国や東南アジア諸国の参加を見込む。データ流通のルール作りやサプライチェーン(供給網)で連携し、地域包括的経済連携(RCEP)に加わる中国への対抗を念頭に経済圏の構築を目指す。
IPEFは、バイデン大統領が昨年10月の東アジア首脳会議で構想を打ち出した。トランプ前政権が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)の代わりとして、米国がアジア地域の経済連携を主導する狙いがある。
関係者によると、来日するバイデン氏は、23日にもIPEFの発足を表明する方針だ。同行するレモンド商務長官を含めた参加国による閣僚会議を開くことも検討している。松野官房長官は10日の記者会見で、「自由で開かれたインド太平洋の実現という観点から、日米で緊密に連携して取り組んでいく」と述べた。
IPEFは、データ流通のルール作りや貿易の円滑化、サプライチェーン、インフラ整備・脱炭素、税・反腐敗などの分野でそれぞれ参加国を募り、ルール作りや政府間協定を目指す。
米国では、TPPのような自由貿易協定に対し、雇用の悪影響を懸念する声が強い。IPEFは、関税引き下げといった市場開放は目指さない方針だ。東南アジア各国にはメリットが小さく、中国との経済的な結びつきもあるため、交渉が難航する可能性もある。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220510-OYT1T50248/