「またひとつ、古参の組織が消えてしまった。感慨深いよ」
ため息交じりにそう語るのは、都内在住の暴力団関係者だ。
7月下旬、暴力団関係者の間に、1通の「御通知」という書状が送られてきた。そこには、
「姉ヶ崎一家 関東会 姉ヶ崎一家 甲州家会 姉ヶ崎一家 五十嵐会 並びに 姉ヶ崎会を令和四年七月二十五日付を以て解散する事に決議致しました」
と書かれてあり、「明治後期の結成以来百三十余年に亘り御指導御支援御厚誼を賜りました事厚く御礼申し上げます」とあった。
暴力団に詳しいジャーナリストはこう話す。
「姉ヶ崎会とは、浅草に本部を置く古参の的屋組織です。六代目山口組や住吉会などの指定暴力団ではなく、そのような大組織の傘下にもなっていない、独立団体です。
とくに、関東を中心とした“ダフ屋”をほぼ一手に引き受けていた組織として有名でした。ダフ屋とは、コンサート会場の周辺でチケットを持っていない客に、あらかじめ購入していたチケットを高値で転売したり、余ったチケットを購入して転売したりするなどの行為です。
かつては来日した海外アーティストも含め、大規模なコンサートやライブ会場には必ずといっていいほどダフ屋がいました。彼らはアーティストの情報に詳しく、どこでいつコンサートが開かれるか、いくらぐらいで、どれぐらいの数のチケットが捌けるかを見極めていたんです。どのアーティストの人気に翳りが見えているか、彼らはいち早く知っていました」
そんなダフ屋も最近では見かけることがなくなっていた。前出の暴力団関係者が話す。
「チケットはネットで購入することが当たり前になり、本人確認も徹底しているから、ダフ屋が入り込む隙がなくなった。それに近年はコロナ禍で、コンサートそのものが開かれなくなっていた。ダフ屋としての仕事がなくなっていたようだ」
関係者の間では、こうした“経済的要因”が姉ヶ崎会の解散につながったとみられているが、組員らはその後、どうするのか。
「本部がある浅草で、的屋として生きていく組織や、他団体に移籍する組員、また引退する組員もいるそうだ」(同前)
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