広島駅で「のぞみ」から「こだま」に乗り換え、西へ14分乗車すると、山口県岩国市の新岩国駅に着く。市の人口は約12万7千人。約8万人の福井県越前市、約6万3千人の同県敦賀市より多い。
広いコンコースには中央に円形のソファが二つとテレビが1台。天井の蛍光灯のいくつかは切れ、駅構内にはコンビニが1店。山口県内の新幹線駅は五つあり、新岩国の利用者数が最も少ない。2020年度は1日平均約500人で、新山口駅の9分の1。
新岩国駅は1975年、山陽新幹線岡山―博多の開業とともに市郊外に設置された。岩国商工会議所の木村圭一専務理事(67)の記憶では、当時駅周辺には飲食店が5店舗ほどあり、ホテルもできた。現在は飲食店が1店のみで、ホテルはサービス付き高齢者住宅に変わった。駅を出て右手の古びた土産物店2階の窓には「テナント募集」のチラシが張ってあった。<中略>
懸念の声もある。複数の市関係者は「岩国の中心地にあった映画館も、ボウリング場もなくなった。アクセスはよいけど、通過型(の都市)で終わっている」と口をそろえる。
同会議所の杉山浩司事務局長は「新幹線は地元から外に出て行くには便利。プロ野球の広島カープの試合にもすぐ行ける。駅前の土日の駐車場は結構いっぱい」。新幹線駅ができてから48年。駅周辺の土地は駐車場が大部分を占めている。
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