「ジブリ映画で作画担当」はウソ? 称賛が急転 コロンビアで騒動に
「ジブリ映画の制作で大きな役割を果たした」と主張していたイラストレーターの話は虚偽だった――。そんな話題で南米コロンビアがざわついている。裏付けがないままインタビューを大きく掲載したメディアは謝罪に追い込まれるに至った。
スペイン語紙エルパイスなどによるとに、コロンビア国籍のジェラルディン・フェルナンデスさんは、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」の制作に参加したと主張。映画内での15分間超の分量にあたる2万5千枚分のイラストを作画したとしていた。昨年10月には、出身地であるコロンビア北部バランキージャの大学で講演。スタジオジブリから「あなたの貢献全てに感謝する」と書かれた手紙が届いたと述べていた。
「君たちはどう生きるか」は今月7日、米ゴールデングローブ賞のアニメ映画賞を受賞。コロンビアでは、フェルナンデスさんが制作に大きく関わっていたとして、祝福の声が上がった。地元紙「エル・エラルド」は14日、「ゴールデングローブを受賞したバランキージャの才能」という見出しで、フェルナンデスさんへのインタビュー記事を掲載した。フェルナンデスさんは自身のSNSで「私の人生で、スタジオジブリの制作に携わるとは思ってもみなかった」と語っていた。
だが、映画のクレジットにフェルナンデスさんの名前がないことがSNSなどで指摘されるように。フェルナンデスさんが他に制作に関わった作品も見つからず、その主張に疑義が呈されるようになった。
フェルナンデスさんはその後、エル・エラルドなどの取材に対して、自身の主張が「過剰」だったと釈明。2万5千枚分ではなく、実際に描いた分量は200枚分だったと訂正した。スタジオジブリでの映画制作には関与したと主張したものの、勤める会社に対して提出した「証拠」は日本語で記されていた「陶芸コンテスト」の参加賞だったことも発覚。日本の大学で得たとする修士号の証明書は、陶芸のシンポジウムに参加したことを示す書類だったという。
エル・エラルドは16日、編集幹部が読者に語りかける動画を公開し、「我々が間違いを犯したことは疑いようがない。彼女の説明には説得力があったため、裏付け作業を怠った」と謝罪した。(サンパウロ=軽部理人)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3b96d07e08bece9dd97c0af721836755bdce3281