ドイツに留学中の研究者さんから「宗教的接触に関する理論的学術書が出たようです」と教えてもらったのですが、本の表紙になっているのが虚構系資料の代表格の「仏像付き十字架」…! 嫌な予感しかしないのですが、オープンアクセスになっていたのでPDFを落として日本のところだけ一読。嫌な予感は pic.twitter.com/yPxhSu32fS
— 由愛 (@tenjounoao_yume) April 7, 2025
「この頃から、日本各地でキリシタン遺物が『発見』されるようになった。これらの中には、かくれキリシタンの信仰とは関係がなく、誤認されたものや、国内外での売買のためや個人の趣味でつくられたものが含まれる。本書では、これらを中園成生『かくれキリシタンの起源』(2018年)に倣い、『虚構系資料(虚構のかくれキリシタン資料)』と呼ぶことにしたい。
虚構系資料の種類は多岐にわたる。キリシタン遺物であると誤認されたものの代表的なものとして、石造物(織部灯籠、墓碑、石像など)、かくれキリシタンが所持していた仏像・神像がある。またつくられたものとしては、仏像・観音像や大黒天像など従来の神仏に十字架を施したもの、十字文様が施された陶磁器や南蛮鐔、踏絵・紙踏絵、魔鏡などが挙げられる。虚構系資料は来歴不明にも拘わらず、かくれキリシタンの信仰と結び付けられ、文化財指定をされたほか、各地のミュージアムに収蔵・展示される状況が生じた」
https://www.kirishin.com/book/68347/
概ね的中しました。こちらではThe Buddha crossとして紹介されています。キリシタンについて書かれているのはp112から。以下、要約です。
— 由愛 (@tenjounoao_yume) April 7, 2025
「17世紀の日本では、キリスト教は国家体制への脅威と見なされ、弾圧を受けた。信者たちは仏教徒として振る舞いながら、密かに信仰を守る道を選んだ。この過程で
仏像の中に十字架を隠したり、キリストの姿を仏陀に置き換えたりするなど、象徴の改変が行われた。こうした工夫は、命を守るための防御策であると同時に、「宗教的接触」による文化的融合でもあった。キリスト教と仏教の象徴や儀礼が交わることで、両者の境界が曖昧になり、新たな信仰のかたちが形成
— 由愛 (@tenjounoao_yume) April 7, 2025
されていった。このような宗教的接触は、支配や迫害の歴史の中で生まれた独特な宗教文化の創出に寄与した」
— 由愛 (@tenjounoao_yume) April 7, 2025
――しかしこの論の前提となっている「仏像付き十字架」は虚構の資料なので、このように宗教文化が創出されたとはいえないわけで。著者が引用している海外の論文も読んで反論していかねばと。 pic.twitter.com/Gh8BvC0Jbh
私にそれだけの実力があればの話なのですが。
— 由愛 (@tenjounoao_yume) April 7, 2025
こちらからダウンロードできますので、よかったら。https://t.co/UB2w4o6msM
もちろん歴史学ではなく宗教学の理論の本なので、歴史認識の正誤が論点ではいないのですけど、それでも根拠となる資料の虚構性は指摘すべきだと思うので。 pic.twitter.com/gZpnmuxwHQ
「キリスト教は国家体制への脅威と見なされ」というのも違っている様な気がします
— mc72710 (@mc727101) April 8, 2025
宗教学の領域はかなりの部分で歴史学と重複しているので歴史認識の正誤は極めて重要な論点です
— 朱鷺坂 鸚鵡 (@tokisaka006) April 8, 2025
誤った史料の取り上げ方で語られる内容は偶然に趣旨が整合していたとしても学問的には無意味になります
海外の日本イメージはアカデミックな領域でも、かなり歪んでいるようです。私は英語が待ったか駄目で、気がついたのは、西洋史領域の方が東洋史領域の報告をしたものを日本語で書いていて、いくら何でもそれは「むちゃくちゃ」だ、と気付いた時です。そのことは批判しましたが、欧米のものは要注意です
— Dr.向野正弘Ph.D:研究活動続行中 (@suzuki77masa) April 8, 2025
弥助の件といい、坂上田村麻呂といい、もしかして西欧では極端な民族主義、宗教論に基づいた前時代的理論に戻りつつあるのでは?
— 東谷英助 (@woDSOnyomz40662) April 8, 2025
近代以降この手の本はちょこちょこ出ているので「また新顔登場か」くらいだと思いますね。
— アルビレオ@炙りカルビ (@albireo_B) April 8, 2025
ちなみに、この表紙に使われている仏像付き十字架(が後世に作られたまがい物であること)については、リンク先の記事が手頃でした。https://t.co/RPFXy5mhGN
— 平尾昌宏 (@HiraoM) April 7, 2025
そのlink先記事にある「高山右近が居城した明石市船岡城下の寺院に伝わる鉄製の仏像付き十字架」は今も一般社団法人明石観光協会で「右近が城主であった時代に布教したキリスト教徒が禁教令後も拝礼のため壁に埋め込んだマリア観音」として紹介されています。…観音?https://t.co/veLplD3nSh pic.twitter.com/H5t5YOVjVY
— 業務厨房 (@o29a_o5) April 8, 2025
これはやばい。。。
— Eisho Hayashi 🍉 (@eisho353) April 7, 2025
日本の大学に批判的で「日本の大学は信用できないので西洋の大学から発行された論文や書籍でないと信用しない」とおっしゃる方がたまにいるのですが、そんな考えでは全然ダメな例と言えそうです。。。 https://t.co/dS33Zi7o8y
こんなんで幕府の目が逃れられるなら、誰も苦労はしていないのである https://t.co/t94C2xPqe6
— アーノルド卿と愉快な業務用マヨネーズ(公式) (@wellkin1945) April 8, 2025
この記事知ってビックリ
— YOKOMATSUBARA (@YOKOMATSUBARA) April 8, 2025
仏像つき十字架なんて、日本の社会の教科書のどこにもないよね。普通に、隠れキリシタンのこと書きゃいいのに
他国のことで堂々と出たらめ書くなんて、基本に相手をバカにしてる気持ちが潜んでる
「間違えたことを書くまい」という気持ちは、相手を尊重しないと出てこないもの https://t.co/JeaQrsjUJ5
これがヨーロピアン日本史界隈の怖さだなあ。
— 蓄T (@chick3T) April 8, 2025
ご立派な「融和」のお題目でにじり寄ってきて、フィクション級の想像物をねじ込んでくる。 https://t.co/F6rmqU7o8g
日本人なら十字架を見たときに「それ」と分かるが(だからこそ隠れキリシタンは分解組み立て式の十字架を作ったりしてたわけだが)、キリスト教が文化に根付いてる欧米ではこれのおかしさが理解できないんだろうな https://t.co/zNnZaYVH66
— intat (@intat14) April 8, 2025
これ日本の学者が「英語で」指摘できないとあかん奴では https://t.co/75tDfbacOu
— |ω・`)もんぐれ (@mongrelP) April 8, 2025