数百匹の野生ウサギが生息し、「ウサギの島」として人気を集める広島県竹原市の大久野島でカラスやネズミなどの害鳥や害獣が増えている。観光客が持ち込んだウサギの餌の食べ残しが原因とみられ、ウサギのために与えた餌が「天敵」を増やすという矛盾にあえぐ。事態を受け、島を管理する環境省などは観光客へのマナーの啓発などを担うサポーターの育成に乗り出した。
大久野島のウサギは、島内の小学校で飼育されていた数匹が1970年代に放たれ、野生化して増殖したとされる。開設された国民休暇村のシンボル的存在として人気を呼び、市のPRもあって観光スポットになった。観光客らがSNSなどで「ウサギ島」と紹介したことで知名度が上がり、2013年に約12万5000人だった観光客数は、19年には約28万9000人に膨れあがった。かつて旧日本陸軍の毒ガス兵器工場があり、今も各所に遺構が残る島だが、今では「ウサギ島」の愛らしいイメージが定着している。
島内でウサギの餌は販売しておらず、観光客が持ち込む野菜などが生息を支える。ただ、多すぎて食べ残した餌が放置され、それを餌とするカラスやネズミ、イノシシなどの増加を誘発。本来、ウサギは食べてはいけない菓子パンやスナック菓子などを与える観光客もいる。また、餌を奪う際にカラスがウサギの目をつついたり、弱ったウサギを捕食したりするケースも確認されており、生息環境に影響が及んでいるという。
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