1990年代以降、ネットの普及や他の娯楽の充実等が原因で活字離れが起き、出版不況が続いています。出版業界の市場規模は1996年の2兆6500億円とピークを迎えたのちに減少し続け、2021年は1兆2000億円とピーク時の半分以下にまで落ち込みました。
そして書店業界も出版業界に連動する形で規模縮小が続いています。2001年まで2万店以上あった書店数は2020年には約1万1000店にまで減少しました。このような状況下で書店業界はどう動いているのでしょうか。各社の動向や対抗策としての新たな取り組みに注目してみます。
■特に雑誌が売れなくなっている
出版業界を支えてきたのは書籍よりも雑誌です。同業界がピークを迎えた1996年は書籍の売上高が1兆900億円に対し、雑誌は1兆5600億円と約1.5倍で、2015年まで雑誌が書籍を上回っていました(雑誌7800億円/書籍7400億円)。そして2021年の売上高は雑誌5300億円に対し、書籍6800億円でした。
書籍も規模を縮小していますが、現在は特に雑誌の売上高がピーク時の3分の1にまで落ち込むなど著しく減少していることがわかります。商店街や街中の小さな書店は書籍よりも雑誌の売り上げで成り立っていたため、こうした店舗を見かけなくなったのは雑誌販売の不調が原因でしょう。<中略>
“脱・本や雑誌を売るだけ”がテーマに
出版不況は当然ながら書店業界に影響を与えており、特に文教堂のような中・小型書店は大打撃を受けています。都市部の大型店舗は需要を維持できるかもしれませんが安泰ではありません。こうした状況下で書店業界は文具・雑貨店を併設するほか書籍以外を充実させたり、コワーキングスペース併設する店舗を増やしています。
従来のように本や雑誌を売るだけでは集客を見込めないため、今後は本以外の商品やサービスも提供する、総合型書店が増えていくことでしょう。
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