赤潮の異常発生による有明海産海苔の狂乱相場は、2月3日に行われた佐賀第5回入札の平均価格33円をピークに、いくらか落ち着きを取り戻しつつある。
ただ、33円は昨年同期の平均13円と比べても2.5倍、ピークアウトした17日の平均も23円と高止まりの状態が続く。狂乱相場下、玉の確保に奔走した海苔商社だが、今度は末端での小売価格をどうするかという難題が待ち受けている。
全国の海苔生産の6割を占める有明海の記録的な不作により、22年度海苔漁期の全国生産量は45億枚程度になるというのが大方の見立て。
ざっくり65億枚と言われているこれまでの生産量より20億枚少なく(3割減)品質も悪い。
それでも売るものがなければ商売にならないと、海苔商社は高値を承知で札を入れてきたが、原価をそのまま反映した売価ならスーパーの売れ筋、全形10枚入り400円が700~800円となり、3つ切り30枚入り358円が600~700円という現実離れした店頭価格になる。
嗜好品である海苔は500円が上限だろうとする海苔商社は多い。498円売価を実現するための逆算をすると内容量を減らし売価も上げざるを得ない。
内容量を減らして売価を維持するのがステルス値上げだが、海苔業界にはこっそりやっている余裕はない。全形10枚なら5枚か7枚入りにして498円、3つ切り30枚は20枚入りにして498円という小売価格が十分考えられる。
これまでの価格をベースにいくら上げるかの次元ではなく、売れ筋に関しては劇的に規格と価格を変更しなければ海苔商社は立ち行かず、その結果、海苔離れが起こっても仕方ないと腹をくくらざるを得ない。それだけの原価が仕入れにはかかっている。
「3割売価を上げることで、3割消費が減るかもしれない。ただ、3割減なら安定供給ができる。昨年と同じ枚数が売れれば、来秋の新海苔までに市場から海苔が消えてしまう」とする海苔商社もある。
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