「有名なモスクやビーチがあり、多くの観光客を魅了するにぎやかな港町が、今では映画『地獄の黙示録』のシーンにそっくりだ」
ウクライナの新聞「キエフインディペンデント」でライターを務める寺島朝海さんは、マリウポリ出身のジャーナリストに取材し、そんな証言を得ている。
■水もなく脱水症状に
同国南東部に位置する人口約40万人のマリウポリは、ロシア軍に包囲され、電気、水道、ガスが遮断された。そこに約35万人の市民が籠城状態を強いられている。彼女のレポートによれば、〈人々は凍りそうに寒い地下室に避難を余儀なくされ、十分な食べ物も、水もなく、脱水状態に陥っている〉
生活に必要な物資も、〈食料品店や薬局には、在庫がもう無いか、ロシア軍に略奪されていた〉
食料や水でさえも、〈危険なほど不足しているため、氷点下の気温で調理し、暖を取るために木材を切り刻んでいる〉
〈最も被害が大きかった地域に住む人々は、家の中で今は動かなくなったラジエーターを叩いたり、雪を溶かして飲料水にしている。破壊された家の瓦礫の中を歩いて、何か食べられるものを見つける人もいる〉
こうして包囲し、孤立させた街を、ロシア軍が無差別に爆撃しているのは周知の通りだ。前出の産科病院に続き、16日には避難場所となっていた劇場が爆撃され、数百人が未だ生き埋めになっているといわれている。さらには19日、やはり避難場所となっていた美術学校が爆撃を受けた。
「このマリウポリに外国メディアで唯一入り、状況を伝えているのは、アメリカのAP通信です」
と述べるのは、さる全国紙の外信部デスク。
「英語で書かれたその記事によれば、爆撃によって殺された人々があまりに多過ぎて対応が間に合わず、死体は凍土に掘られた塹壕に投げ捨てられている、と。時に爆撃は毎分にも及び、作業する人も身を守るために無造作に投げ入れざるを得ないとか。葬儀を行うこともできず、当局は“死体は路上に放置しなさい”と指導しているそうです」
全文はこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/cfa11b85c53840dbafb18c2f3f7736324fba48e4