「まさか私の写真まで勝手に拡散されるとは思いもしなかった」。中2の長男(13)が複数の同級生からいじめを受けた30歳代の母親はそう話す。
いじめの始まりは、長男が関西地方の中学校に入学した昨春だった。同級生から丸刈りにするよう言われ、仲間内で一人だけ拒否すると、「こいつとは仲良くするな」と仲間外れにされた。長男のSNSには、別の同級生から、〈ころすぞ〉などと書き込まれた。昨秋から別室での授業を余儀なくされても、〈全部お前が悪い〉などと追い打ちをかけてきた。
同じ頃、嫌がらせの矛先は母親にも向けられた。「知り合いからこんな画像が送られてきた」。長男からスマホを見せられた母親は、不自然に拡大された自分自身の顔写真が目に入った。ラインに以前、載せていた家族写真。母親の顔だけが切り取られていた。長男の同級生を問いただすと、オンライン上のゲーム仲間に送りつけたことを認めた。母親の知らないところでネット空間を巡り、長男のスマホに回ってきた写真。母親は「どこの誰だか分からない人に見られたかと思うと、気味が悪かった」と振り返る。
母親によると、この同級生は長男と同じ小学校に通っていた時、友達の顔写真を「遺影」のように無断で加工したこともあるという。母親は「止める人が誰もいなくて、SNSでは何をやってもいいとエスカレートさせている」と憤る。
2年生になってクラスが替わり、ようやく元の学校生活を取り戻しつつある長男。母親は長男へのいじめについて学校に相談してきたが、「個人のスマホのことには対応できない」と取り合ってもらえなかったという。「SNSのいじめが過激になって親にまで及んでいるのに、学校の当事者意識はあまりに低い。またいじめられても守ってくれないのか」。母親の不信と不安は強い。
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