泥酔した消防士らに玄関のガラスを壊され、営業が再開できない状況に追い込まれたとして、「古都奈良かんざし美術館」(奈良市)がツイッターで窮状を訴えている。
事件の発生からもうすぐ2年が経過しようとしているが、修繕費用をめぐる調停は平行線をたどり解決に至っていない。費用の問題で内装などの修復ができないため、閉館を余儀なくされ続けている。<中略>
喜多さんの話によれば、事件が発生したのは20年3月23日23時ごろ。彼女は当時、美術館の2階にある自宅にいた。
「1階で『ドーン』って物音と振動がしたんです」
不審に思って警察に連絡しながら階下へ行くと、入口に酩酊状態の男性が立っていた。わずかに開いた自動ドアから、男性が逃げないように手をつかんだ。そのまま右に目をやると、美術館の正面ガラスが大破していた。厚さ6.8ミリだった。
「そんなガラスはちょっと寄りかかっても割れるはずが無いんですけど、真ん中に穴が開いて放射状に割れてたんです」
電話先の警察官から「(男の)手を離さないように」と言われた喜多さんは、手を掴んだまま警察の到着を待った。現場には男性がもう1人。一旦はその場を去りかけるも呼びかけに応じて戻ってきた。
手をつなぎ留めていた男は、館内にいる喜多さんを外に出そうとして、人が通れるくらいまでに自動ドアをこじ開けた。ガラスの砕け落ちる音がしたという。
表へ出た喜多さんが記録用に男性らを撮影すると、写真を消去するよう声を荒げて求められたという。そのうちにパトカーが到着した。通報から5分ほどの出来事だった。
男性らは警察に反抗していたそうで、最終的に署まで同行させられる事態となった。喜多さんは、その場で簡単な事情聴取を受けるにとどまる。
パトカーが去ったのは23時半ごろ。ガラスが割れたままの入口をそのままにするわけにもいかず、美術品を守るために喜多さんはひとり、寒さを感じながら夜を明かしたという。
修繕費用をめぐり、調停に…<中略>
入江相政侍従長らが集まる面会の場で、喜多さんは前述の「鹿角かんざし」など2、3本の収集品を逸話とともに披露。美術館開館の夢を語ると、昭和天皇から前向きなお言葉を受けたという。
この経験もあって喜多さんにとって美術館を開館することは昭和天皇との「心の約束」となった。侍従長との交流は続き、朝日新聞社が刊行した「入江相政日記」にも喜多さんについての記述がみられる。
全文は下記URLで
https://www.j-cast.com/2021/12/29428110.html?p=all
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